行列ができる店があるのに、なぜ「たい焼き店」は増えないのか水曜インタビュー劇場(一丁焼き公演)(2/7 ページ)

» 2020年02月26日 11時20分 公開
[土肥義則ITmedia]

小さな店をやってみたい

土肥: 休日、JR阿佐ヶ谷駅前にある商店街を歩いていると、行列ができているところがありました。なぜ多くの人が並んでいるのかなあと思っていたら、「ともえ庵」のたい焼きを求めていたんですよね。そもそも、なぜたい焼き店を始めようと思ったのでしょうか?

辻井: 以前から「小さな店をやってみたいなあ」と思っていましたが、何をすればいいのかよく分かりませんでした。僕は関西出身でして、身近にたい焼き店がなかったんですよね。社会人になって上京したときに、初めて一丁焼きのたい焼きを食べたところ、「おいしいなあ」と感じました。

 東京の「御三家」と呼ばれるたい焼き店を見ると、ものすごい行列ができている。シーズンオフの夏場でも、冬の寒い日でも30分〜1時間ほど並ぶことも珍しくありません。そうした光景を見たときに、「自分でもたい焼き店ができるのではないか」と考えました。

 先ほど「小さな店をやりたい」と言いましたが、店をオープンするにあたって3つの条件をクリアしなければいけないと考えていました。1つめは、初期投資が少なくて済むこと。2つめは、お客さんの知らない何かを届けられること。3つめは、それなりに参入障壁があること。

 たい焼き店を始めようと思ったら、初期投資はどのくらい必要なのか。調べたところ、500万〜600万円でできることが分かってきました。いや、「引き売り」でやれば、もっと安くできるのではないかと考え、実際にリアカーを購入したんですよね。

土肥: なんと! では、最初はリアカーを引っ張って、販売していたのですか?

辻井: いえ、その後、東京の中野に物件を見つけることができましたので、そこに店舗を構えることにしました。

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