なぜあの商品は売れた? 行列研究所が謎に迫る
インタビュー
» 2020年02月26日 11時20分 公開

水曜インタビュー劇場(一丁焼き公演):行列ができる店があるのに、なぜ「たい焼き店」は増えないのか (3/7)

[土肥義則,ITmedia]

参入障壁が高い理由

土肥: 2つめの条件について、聞かせてください。「お客さんの知らない何かを届けられること」って、どういう意味ですか?

辻井: 一丁焼きを初めて食べたときに「おいしい」と感じたわけですが、同じように初めて食べた人も「おいしい」と感じるのではないか。一丁焼きの店はまだまだ少ないので、食べたことがない人も多いはず。そうした人に、何かを届けることができるかもしれないと考えました。

 3つめの参入障壁はどうだったのか。たい焼きを一匹ずつ焼くって面倒ですよね。面倒なことを自ら率先する人は少ないのではないかと考え、一定の参入障壁があると判断しました。こうして自分に課した3つの条件をすべてクリアしたので、11年1月に店をオープンしました。

土肥: 実際に始めてみて、どうでしたか? いきなりたくさんの人がズラリと並んだとか。

辻井: いえ、ものすごく苦戦しました。一応、店をオープンする前に、通行量調査を行いました。「〇月〇日、〇時に店の前を歩いていた人は〇〇人」といった感じで。ただ、まったく役に立ちませんでした。

 通行量を調べると、売り上げを予測することができるのですが、たい焼き店を運営するのは初めてだったので、その数字をどのうように読み解けばいいのかよく分からなかったんですよね。「このくらいの通行人がいるから、このくらいの売り上げが見込める」と言われても、「ふーん」といった感じ。というわけで、一店舗目は、まったく役に立ちませんでした。

土肥: 実際に店を運営してみないと、分からないことがあるということですね。このほかにも、気付きはありましたか?

辻井: たい焼き店は参入障壁が高いと考え、店をオープンしたわけですが、その意味が分かってきました。一匹ずつ焼くことは、想像以上に非効率なんですよね。行列ができる店であれば、ずーっと焼き続けなければいけません。結果、売り上げはどんどん伸びていくわけですが、人があまり並ばない店はどうか。たい焼きって、一匹焼くのに6〜7分かかるんですよね。一匹焼いている間に、次も次もといった形で、1分間隔で焼くことができる。ですが、お客さんの列が途絶えたときはどうか。また、6〜7分かかってしまうんですよね。

 「たい焼きを食べたいなあ。ちょっと買っていくか」という気分になって注文したのに、「6〜7分待ってください」と言われたら、どんな気分になりますか?

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