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「デスクでランチ」が多い会社はブラック企業!? そこかしこに潜む、「ブラック企業認定」のリスク連載・あなたの会社は大丈夫? 求職者に「ブラック企業」と思われないために(4/4 ページ)

» 2020年03月10日 05時00分 公開
[新田龍ITmedia]
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「デスクでランチ勢」も要注意

社長室がやたら豪華 →逆に「社長の自信のなさ」を感じ取られることも

 社長室といえども、仕事場であることに変わりはない。であるにもかかわらず、必要以上に豪華な調度品や骨董品、趣味の品が置かれているのは、社長が会社を「私物化」していることの表れであり、当然ながら求職者は従業員のことを考えない「ワンマン企業」の匂いを感じ取る。

 また、著名人と一緒の写真や色紙なども要注意だ。これらはいずれも、社長がそんな付き合いがあるクラスの人物であることを「自分で常に確認し」「周囲に見せ付ける」ためのものでしかない。本当に根拠のある自信を持ち、仕事そのものに真面目に向き合っている人間ならば必要ないものであり、「社長のコンプレックスや、『自信の至らなさ』の表れではないか?」と捉えられることになるだろう。

デスクでランチをとっている人が大勢いる →「ハードワーク」の常態化を感じ取られる

 昼食時に外出することなく、何やら仕事をしながら自身のデスクで弁当を広げる光景――。そんな人が1人や2人程度であれば全国どこでもよくあることなのだが、あなたの職場でそれが日常的、かつ多数いる、といった場合は要注意だ。

 求職者はその様子を目にし、「この会社はゆっくり1時間も休みを取れないくらいハードな環境なのか」、もしくは「電話当番などをさせられ、休みをとることが許されないような社風なのかもしれない」と委縮してしまうことだろう。

「デスクでランチ」も要注意(出所:ゲッティイメージズ)

従業員の印象から伝わる組織の雰囲気に違和感がある →そもそも社風が悪いか、個々の社員が抑圧されている可能性が高い

 おそらく、普段から同じ職場にドップリとつかっている人には気付きにくい点だろう。しかし、同時期に多様な会社の複数のオフィスを訪問している求職者には、ささいな違和感を敏感にキャッチするのだ。

 なかなか言葉にしにくいのだが、オフィスに一歩足を踏み入れたとき、もしくは社員と話したときに「何かしらの違和感」を直感的に得ることがある。あえて言葉にすれば、このような要素が当てはまるだろう。

「私語一つなく、ピリピリした雰囲気」

「生気がなく、ドンヨリした雰囲気」

「社員があいさつもせず、何となく冷たい雰囲気」

「社員の言葉づかいがなっていない、態度が悪いなど、粗野な雰囲気」

「上長が話しかけた際、社員が萎縮しているような緊張感に満ちた雰囲気」


 求職者はそれらの雰囲気から、社風を感じ取って忌避することになる。知らぬ間にあなたの会社にも、これらの要素が見え隠れしていないだろうか。もし当てはまる点があるなら、「ブラック企業」と呼ばれることが根拠ない「風評」ではなく、「事実」となっているかもしれないのだ。

 ここまで、説明会や会社訪問時に気を付けるべきポイントを紹介してきた。次回は、「選考段階」で企業が注意するべきポイントを書いていく。

著者プロフィール・新田龍(にったりょう)

働き方改革総合研究所株式会社 代表取締役/ブラック企業アナリスト

早稲田大学卒業後、複数の上場企業で事業企画、営業管理職、コンサルタント、人事採用担当職などを歴任。2007年、働き方改革総合研究所株式会社設立。労働環境改善による企業価値向上のコンサルティングと、ブラック企業/ブラック社員関連のトラブル解決を手掛ける。またTV、新聞など各種メディアでもコメント。著書に「ワタミの失敗〜『善意の会社』がブラック企業と呼ばれた構造」(KADOKAWA)他多数。


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