クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

ホンダの決算から見る未来池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/7 ページ)

» 2020年05月25日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

二輪事業と四輪事業

 こういった前提で改めて見ると、ホンダの場合、台数の落ち込みは、四輪については全需に対してマイナス超過が見られ、二輪については全需の後退ラインより手前で踏み堪えているように見える。

 もうひとつ、ホンダの特殊事情について説明しておこう。決算というのは会社の事業全体のものなので、原則論としては、二輪と四輪について分けて考えない。事業種別ごとに内訳が書かれている場合もあるが、そもそも間接部門の按分(あんぶん)をどうするかなど恣意的な部分もあるので、そもそもきっちり分けられるものではない。例えば青山本社のショールーム「ホンダウェルカムプラザ」の家賃はどっちが負担するのかなど、細かいことを言い出せば解釈の方法はいくらでもある。

 そのため、ホンダの場合、二輪と四輪がある程度ごっちゃになっている。決算とは企業の活動報告なので、それで正しいのだが、筆者のように四輪に軸足を置いて見ていると、どうしても四輪の中だけで考えそうになる。そのため、さまざまな要因を考慮するための簡単な指標として、売上と利益の事業別比率の表を作成した。今期決算から見ると、売上ベースでいえば、二輪が13.5%で四輪が67.0%。しかし利益ベースで見ると二輪が45.1%、四輪が24.2%と激しく逆転する。

事業別の売上と利益の比率(ホンダ資料より筆者作成)

 今期のホンダの売上を作っているのは7割方四輪だが、利益の半分近くは二輪が稼いでいる。

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