売上高はどうか? これはもちろん全体の話だ。前年度との比較で見ると、18年の15兆8886億円から9576億円(マイナス6%)下げて、当期は14兆9310億円となっている。
これによる利益は、18年の7263億円から927億円(マイナス12%)下げて6336億円。その結果営業利益率が4.6%から0.4ポイント下げて4.2%となっている。
ここまでの総評を述べれば、四輪の生産台数減は50万台強。それはつまり大型の工場1つ分、あるいは標準規模の工場2つ分近い減で、生産効率を維持するにはかなり厳しい。とはいえ、利益については、最終的な営業利益率が4.2%レベルで抑えられているので、酷いことにはなっていない。
問題は、コロナの本格的影響はほぼ次年度の決算を直撃するはずだということだ。全ての指標がこれより落ちるということを前提にすると、次年度に備えて、もう少し高度を維持しておきたかったところだ。特にホンダの場合、中国での生産拠点の半分が武漢にあり、あらゆるリソースの移動を含む、サプライチェーンの毀損の影響を最も大きく被ってしまった一社である。
武漢は再稼働したものの、決算発表の時点で、まだ休止中の生産拠点も多い。まだ休止中のメキシコ工場は米国のみならず、日本も含めた世界全体のホンダの工場に広範囲の部品を供給する重要拠点なのだが、コロナの終息がまだ見通せない。メキシコの再稼働が伸びれば、グローバルな業績に多大な影響を与えかねない。
主要生産拠点の稼働状況(ホンダ決算説明資料より)
- 象が踏んでも壊れないトヨタの決算
リーマンショックを上回り、人類史上最大の大恐慌になるのではと危惧されるこの大嵐の中で、自動車メーカー各社が果たしてどう戦ったのかが注目される――と思うだろうが、実はそうでもない。そして未曾有の危機の中で、トヨタの姿は極めて強靭に見える。豊田社長は「トヨタは大丈夫という気持ちが社内にあること」がトヨタの最大の課題だというが、トヨタはこの危機の最中で、まだ未来とビジョンを語り続けている。
- 新型コロナ恐慌がもたらすマーケット変化
新型コロナウィルスの登場によって、今まさに進行形で世界経済はパニックに陥っている。自動車産業も全体としては大変厳しい局面を迎えるだろう。5月発表の各社の決算は多くが赤字に沈むだろう。今手元にある材料で判断する限り、比較的復興が早いと思われるのは、米国と日本になるのではないか?
- ホンダの決算 バリエーション7割削減の意味
増収減益ながら、欧州の工場閉鎖など減益は一過性となるホンダの決算。そして来期に向けては、無駄な派生車種を3分の1に削減し、基礎設計を共通化する「ホンダアーキテクチャー」の導入も進める。
- 見えてきたホンダのMaaS戦略
ソフトバンクとトヨタ自動車が共同出資して立ち上げたMaaS企業「MONET」に、ホンダが資本業務提携する。同時に、MONETは88社が参加するコンソーシムも立ち上げた。なぜオールジャパンのコンソーシムが必要なのか。またホンダの狙いはどこにあるのだろうか。
- それでいいのかホンダ!?
ホンダが中国で新たな工場を建設する。これは白紙撤回されたはずの600万台体制の計画の一部だと筆者は見ている。しかし、ホンダが今やるべきことはほかにあるはずではないだろうか……。
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