新卒一括採用や終身雇用など、日本的な雇用慣行が崩れつつある。ライフイベントや自らやりたい仕事を考え、離職を辞さない人も増えてきているようだ。人手不足という日本社会の構造的な課題を前にして、各企業は社内の人材だけでなく、社外の人材をも活用しながら競争力をどう維持していくのかを模索している。
こうしたことを背景に、中途採用を活用する企業も増えてきた。実際、厚生労働省の統計を見ると、この20年ほどで転職による入職者数はおおむね右肩上がりで推移していることが分かる。
こうした動きは民間企業だけにとどまらない。中央省庁でも、これまでの採用活動を変革し、中途採用に乗り出す潮流ができ始めている。中央省庁といえば、国家の中枢を担う業務を遂行する、エリート集団でもある。一方で激務というイメージもあってか、ここ数年での国家公務員試験の応募者は右肩下がり。人事院の発表によると、中央省庁で幹部候補である「総合職」の2020年度採用試験に申し込んだ人数は1万6730人。前年比で3.3%減となり、4年連続で減少している。
そんな中、20年から新たに中途採用を始めたのが防衛省だ。「行っている業務が特殊なこともあり、民間企業でスキルを活用できるケースも少なく、防衛省の離職者は少なかった」と話すのは防衛省大臣官房秘書課の森田陽防衛部員(課長補佐級)。しかし最近では、社会情勢などの変化などもあり、徐々に離職する人も増えていると話す。
今回の中途採用では、どういった狙いをもとに、どのような選考を行ったのか。採用業務を担当する森田氏と、同課の塚本諒太部員に話を聞いた。
テレワークで剥がれた“化けの皮” 日本企業は過大な「ツケ」を払うときが来た
モノプソニーだけじゃない 「日本人の給料安すぎ問題」に潜むこれだけの原因
増えるストレス、見えた希望――コロナショックを機に、働き手の“反乱”が始まる?
コロナ禍転職不況、中でも「特に厳しい意外な人材」とは?――独自データで分析
スパイは社員に紛れている! 三菱電機、ソフトバンクの情報漏洩が人ごとではない理由Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング