クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

シトロエン・ベルランゴ 商用車派生ミニバンの世界池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/8 ページ)

» 2020年09月07日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]
日本での発売が始まったシトロエン・ベルランゴは良くも悪くも個性的

 一口に自動車といっても、そのジャンルはとても広い。筆者は機械そのものと、生産技術や経営なんかにはとても興味をひかれるが、実はモータースポーツにはさほど興味がなかったりする。

 自動車趣味の世界ともなるとさらにいろいろだ。ハイパワーの速いクルマが好きだとか、コーナーをクルクル回る俊敏なクルマが好きだとか、そういうメジャーな嗜好(しこう)は分かりやすくていいのだが、中にはいろいろなマニアックな世界がある。

 エコカーで記録的燃費を出すことに燃えているとか、マーケットで値段の付かないクルマに千万単位のお金をかけて維持し続けているとか、車種決め打ちで、廃車目前のクルマを数年掛かりで自分の手でレストアして、原価割れした普通の中古価格で売り出して何台も廃車を救済するとか、そういう変な人がたくさんいた出版社に勤めていた。そういう中で、だいぶまともなジャンルに商用車好きの人たちがいた。少々ファッションよりではあったが、日本でも以前シボレー・アストロがちょっとしたブームを巻き起こした。商用車と商用車ベースのクルマにはまた独特の良さがあって、筆者もそういう世界は聞きかじり程度に知っている。

 大型トラックメインの、MANだとかスカニアだとIVECOとかのところまでいくと、もう自分が持つことなど考えないと思うのだが、その手前に個人所有して使うのにちょうど良い着地点がある。それがこのシトロエン・ベルランゴである。ついでにいえばプジョーブランドの兄弟車にはパートナーがある。代表的な競合車種としては、ルノー・カングーやフィアット・ドブロ、フォルクスワーゲン・キャディあたりだろう。

 ダイハツのハイゼットが、トヨタではピクシス、スバルではサンバーとして販売されているように、これらには他ブランドのOEM車両などもあるので、多分キリなく挙げられるはずである。

 まあ、要するに商用バンオリジンのクルマという世界には、面白そうなものがいっぱいあるのだ。筆者はどう逆立ちしても本物のマニアには太刀打ちできないので、最初から白旗を掲げておく。リストに「あれが入ってないのは怪しからん」という人はコメント欄で追加してもらえるとありがたい。

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