クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

シトロエン・ベルランゴ 商用車派生ミニバンの世界池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/8 ページ)

» 2020年09月07日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

走るものとしてのベルランゴ

 さて、走り出す前にドライビングポジションのチェックである。PSA改め、FCAとの合併で生まれた新生ステランティス傘下にあるフランスものの最大の弱点は、ペダルオフセットで、これは相変わらずである。慣れるまでブレーキの踏力調整が難しいくらいオフセットがある。

旧PSAの永遠の課題はペダルオフセット。必ず自分でチェックすべし

 これが受け入れられない人はすっぱり止めた方がいい。他のドライバビリティをいくら褒めたところで、ペダルのオフセットはそれを台無しにするくらい影響が大きい。ただし、不思議なことにペダルオフセットへの感度は人によってだいぶ違う。激怒するほど気にする人もいれば「え? オフセット? そんなのあった?」みたいな人もいる。感度が低い人はそれはそれで幸せなのだ。

 シートは少し小さめだが、肉厚で体をうまく受け止めてくれてなかなか具合が良い。美点である。まあ昔のフランス車のシートを持ち出して比べるといろいろ言いたいことはあるが、このあたりはまだ日本の同クラスと比べると一日の長がある。ちなみにリヤシートも同様で、こっちに関しては、もう大違いといっていい。

電動機構は備えない。フルマニュアルのシート。何の変哲もないが、着座感は良い
リヤシートも出来が良い。国産ミニバンと大きく違うのは敷居の圧倒的な高さ。リンクまでここに丸見えの状態で仕込まれている。ボディ剛性には効いているはずだが、乗降性ではかなりマイナス

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