ライザップに聞く、テレワークしている従業員の健康にコミットする方法「コロナ太り」も話題(3/3 ページ)

» 2020年09月25日 05時00分 公開
[柳谷智宣ITmedia]
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 特に、入会時にBMI(=Body Mass Index、身長と体重から算出した肥満度を表す指標)が高い人ほど、自分に自信がなく、うつ傾向が高かったが、運動の成功体験を積み重ねることで、自信が付いて物事を前向きに捉えられるようになったという。この調査は対面でのトレーニングだったが、オンラインでもほぼ同じ結果がとなるだろう、と河田氏は見ている。

プログラムに参加するとメンタル面が改善される結果も出ているようだ(出所:ライザップ発行のリリース)

オンラインでも対面実施と変わらない効果

 SOMPOひまわり生命保険は、全国の従業員など約1500人が「RIZAPウェルネスプログラム」に参加した。120分間のセミナーを体験した後にアンケートをとったところ、参加前の「健康無関心層」は50%だったが、セミナー後は6%にまで激減。94%が健康に意識を向けるようになった。プログラムを対面で実施した場合の意識変容は95〜98%とのことで、オンラインでもほぼ同じ結果が得られることが分かる。

 「オンラインセミナーの効果が薄くならないように、一方的に配信するだけでなく、チャットなどで個別にアドバイスすることで、満足度が高くなっていると考えています。コロナ禍でなくても、1500人が集合することはなかなか難しいので、LIVE配信セミナーは逆にオンラインならではの強みになっていると思います」と河田氏は話す。

SOMPOひまわり生命保険は1500人ほどの社員がRIZAPウェルネスプログラムのLIVE配信セミナーに参加した(提供:ライザップ)

従業員の運動不足、解消するには

 テレワークで問題になる従業員の運動不足だが、どのように対策をとればいいのだろうか。近田氏は「急に動くのは危険です」と話す。運動不足だからと急に体を動かしてしまうと、逆に拒否反応を起こして体調を崩してしまうことがあるのだという。まずはストレッチしたり、スクワットを週2回したりなど、自分ができる範囲で始めるのが良いそうだ。

 また、家で仕事をしていると食事がおろそかになることもある。しかし、食べないこともNG。「運動量が経ると消費カロリーが少なくなるので、食べなくなってしまう人が増えます。しかし、食べないことが太る原因にもつながっていくので、2〜3品以上を食べるということを意識してほしいです。例えば、おにぎりだけではなく、緑の野菜が入っているものと、肉や魚なども一緒に食べましょう」(近田氏)。軽微な運動と、バランスのよい食事、こうした簡単なことでも従業員の健康を改善できることは押さえておきたい。

 最後に、今後の展望を聞いた。「3カ月で8回の講義と食事指導を行う、1対1と1対n形式を融合した『結果にコミットコース』のオンライン版を開始する予定です。Zoomのブレイクアウトルーム機能を利用して、事業所内で5人ごとのグループを作り、オンラインでも対面と変わらないコンテンツを提供する予定です。講義内のディスカッションの時間では、今週できたことやできなかったことをシェアし、成功事例を共有したり、挫折しそうな人をサポートしたりして、チームで目的を達成するコンテンツを想定しています」(杉原氏)

「結果にコミットコース LIVE」(仮)のイメージ画面

 河田氏は「ライザップとしては、筋肉量が減って身体機能が低下する『サルコペニア』の対策に取り組んでいます。日本の平均寿命は女性が80代後半、男性でも80代前半ですが、健康的に活動できる『健康寿命』を見ると10年ほど下がってしまいます。介護を受けたり、寝たきりになったりする期間を当社のノウハウを使って縮めて、日本の健康と活力に貢献していこうとしています」と締めくくった。

 コロナ禍のせいで、自宅にいる時間が増える状況はまだまだ続きそうだ。従業員の健康やメンタルに深刻な影響が出る前に、手を打つことが求められている。

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