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「集まって議論する」が当然だったPayPay いつどこでも仕事をしていい働き方に振り切れた訳アフターコロナ 仕事はこう変わる(2/3 ページ)

» 2020年09月29日 11時40分 公開
[上間貴大ITmedia]

コンセプトは「原則在宅」と「以前の働き方に戻らない」

 WFAのコンセプトは、従業員の安全を守るための「原則在宅」と、改善を続ける意味を込め「以前の働き方に戻らない」とした。新しい働き方を実現するため、オフィスへの出勤は申請制とした。

 説明会やアンケートで挙がった従業員の意見を反映し、自宅の勤務環境を整えるための「在宅勤務手当」を創設。自宅での勤務が難しい従業員のために、全国20カ所の営業拠点のほか、サテライトオフィスも用意した。

PayPay Webサイト

オフィスは東京で、社員は世界中にいる未来

 PayPayには、エンジニアや開発メンバーなどの従業員が世界中から集まっている。仙田氏はWFAの導入は採用活動にもメリットがあると話す。「優秀な人が東京に行けないという場合でも、採用できるチャンスだと思っている。最近では、名古屋に住む人が応募してきた。今後は、オフィスは東京だが社員は全国各地にいる、という形になるのではないか」

オフィスは東京で社員が全国各地にいる形を目指す(写真はイメージ)

 将来的な構想として、この制度を海外にも広げたいという。現在、約25カ国から従業員が来ており、外国籍率が50%を超えている。優秀な外国籍の人を採用するうえでも新制度は有利に働く可能性があるだろう。

新オフィスは新しい働き方の象徴

 WFAの導入と共に、WeWork Japanと共同設計した新オフィスへの移転を決めた。事業の拡大や人員の増加に伴い、オフィスの増床を以前から予定していたが、コロナ禍をきっかけに新しい働き方を最も重要視したデザインを採用したという。

 これからの働き方を見据えたオフィス移転については、人材派遣大手のパソナグループが、東京にある本社機能の一部を兵庫県淡路島に移すことを発表。また、ライオンも東京墨田区にある本社と一部関係会社を集約し、23年春に大型複合施設「蔵前一丁目開発事業」(東京都台東区)に移転すると発表している。多様な機能を備えたオフィス空間を創り、生産性と企業価値の向上を図るという。どの企業も通常のオフィスとは異なり、新しい働き方を意識した空間づくりを目指している。

 PayPayが目指す新オフィスも、従来のオフィスとは異なった「作業机がないオフィス」(走出氏)をイメージしている。新しいオフィス戦略を「オフィスの役割の再定義」「 三密回避・安全確保」「共創・協働の実現」と定義。出社率25%を上限とし、総席数を従来の968席から228席へと大幅に削減した。

4つの独立したゾーンを設置(出所:プレスリリース)

 また、フロアを「コミュニティー&ソーシャル」「アクティブ・コラボレーション」「ラーニング」「デスク・ワーク」という独立した4つのゾーンに分け、新しい働き方の象徴としてオフィスの在り方を見直した。

 デスクワーク部分は全体の50席程度。WFAの理念に基づき、従来の「業務をする中心の場所」というオフィスの在り方を見直した。走出氏は、オフィスの役目を「情報の交差点・集約場所」にしたいと強調する。

 また走出氏は、経理や総務などの勤務体制についても「1時間でもペーパーワークがなくなるようにしていきたい」と話す。「外部に提出するものや郵便事務は現状どうしても残る。総務エリアは別途設けて対応せざるを得ないが、印刷物はネットワークプリントを使うなど、他のソリューションを利用して業務プロセスもデジタルにシフトしていきたい」

デスクワークエリアは非常に少ない(出所:プレスリリース)

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