「異動の際に考慮してほしいこと、把握したいことは何か」との問いには、全ての項目で「必ず考慮してほしい/考慮してほしい」「把握したい/やや把握したい」の選択率が5割を超えた。一方管理職は、一般社員に比べて「勤務地や勤務時間など、制約事項」「上司と本人の相性」を選択した人が少なくなっている。
同社は「『勤務地や勤務時間など、制約事項』は、管理職側が全てケアすることができない場合もあり、『上司と本人の相性』は、一般社員にとって上司は原則1人であるが、管理職には複数のメンバーが所属する形になるため、一般社員側がより『考慮してほしい』と考える傾向になっているのではないか」と分析する。
また、一般社員に「異動やキャリア開発のために知りたいこと」を尋ねると、「異動先で携わる仕事を遂行する上で必要な知識やスキル」が70.0%と最も多い。次いで「異動先の職場で行われている仕事の進め方」(66.8%)、「異動先の上司の性格特性などの特徴」(60.3%)となった。異動先への適応のために必要な情報、短期で必要な情報を知ることへの関心が相対的に高くなった。
一般社員のキャリアに関する意識と、考慮してほしいこと・知りたいこととの相関関係を見ると、「自分が将来歩みたいキャリアが実現できるか不安だ」との間で「考慮してほしいこと」や「知りたいこと」の相関係数が高い。
同社は「『キャリアが実現できるか不安だ』という思いの強さと『異動の際に条件や環境を考慮してほしい』『異動やキャリア開発の際に必要な情報を把握したい』という思いの強さとの間に関係がある」と分析。社員のキャリアに関する不安を払拭するために、人材情報や職務情報の共有化や開示が有効である可能性が示唆されるとしている。
リモートワークの導入などで、拠点や職種をまたぐ異動の機会が減る可能性がある一方、キャリア開発を考え、自己申告や社内FA(フリーエージェント)制度を利用して積極的に異動を希望する社員が増えることも考えられる。調査担当者は「キャリア開発の機会と結び付けられること、あるいはスムースに適応できることなど、異動対象者の経験の価値を高めることがこれまで以上に必要になる」としている。
この調査は、インターネットを使って実施。企業に勤務する一般社員と管理職1192人が回答した。調査時期は3月。
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