ヤリス・ハイブリッドは最も装備が良いZグレードでも230万。廉価な仕様なら200万円である。ではヤリス・シリーズのWLTC燃費を基にCO2排出量を算出してみるとどうなるか? 一応厳密にいえば欧州ではWLTCではなくWLTPで、そこも少し違う。ルールの違う国の比較は簡単ではないのだけれど、とは言え、目安をおかないと一向に話が進まない一方で、アンフェアだと異論をふっかけられる可能性について、きちんと説明をしておかなくてはならない。あー面倒くさい。
- ヤリス・ハイブリッドZ 1.5
- WLTP燃費:35.4km/L
- CO2排出量:66g/km
- ※30年規制まであと1歩
- ヤリスZ 1.5
- WLTP燃費:21.6km/L
- CO2排出量:107g/km
- ※15年規制をクリア
- ヤリスクロスハイブリッド Z1.5
- WLTP燃費:27.8km/L
- CO2排出量:84g/km
- ※25年規制まであと1歩
- ヤリスクロスZ 1.5
- WLTP燃費:18.8km/L
- CO2排出量:123g/km
- ※15年規制をクリア
- GRヤリス RZ "High Performance"
- WLTP燃費:13.6km/L
- CO2排出量:171g/km
- ※15年規制未達
- GRヤリス RS
- WLTP燃費:18.2km/L
- CO2排出量:128g/km
- ※15年規制をクリア
ヤリス・ハイブリッドは、現時点でCAFE規制の2030年基準まであと一歩まで迫っている
となっている、あと一歩で届いてないと惜しい気持ちになるが、どうせ加重平均してしまうので、個別の車種がクリアしているかどうかは問題ではない。そして全体としてこれだけCO2排出量が低減できているから、GRヤリスRZ "High Performance"のようなクルマを売ることができる。
こうして並べてみるとヤリス・ハイブリッドのCO2排出量66gというのはやはり特筆すべき存在だ。なぜならば、パリ協定の中期目標である30年規制値にこの時点で肉薄しているからである。
そしてこの数値が特定の条件でだけ出るベンチマーク対策の結果ではなく、筆者が300km実際に走行した実燃費もまた32.3km/Lというものだったのである。それは京都議定書からスタートした企業のCO2削減目標に初めて手が届くという話であり、歴史的快挙だといえるだろう。
さらに大事なのはこのクルマが環境専用のキラープロダクツではなく、運動体としても極めてよくできていることだと思う。自動車産業のサステナビリティの旗印であるといっていいだろう。
- ビンテージイヤーに乗った特筆すべきクルマ(後編)
日本のクルマはとても良くなった。筆者が自動車雑誌の出版社に入ったのは1987年で、まだバブルの真っ最中。それから33年、長い月日をかけて、日本車は世界のクルマとトップを競えるようになった。後編で扱うクルマは、トヨタ・ハリアー、スバル・レヴォーグ、マツダMX-30の3台である。
- GRヤリス 一番速いヤツと一番遅いヤツ
GRヤリスの試乗会は今回が3度目である。そして年の瀬の足音が近づいてきた今頃になって、ようやく公道試乗会に至ったわけである。多分GRヤリスが欲しいという大抵の人には、RZ“High performance”がお勧めということになるだろう。こういうクルマは、買ってから後悔するくらいなら全部載せが無難だ。
- ヤリスの何がどう良いのか?
ヤリスの試乗をしてきた。1.5リッターのガソリンモデルに約300キロ、ハイブリッド(HV)に約520キロ。ちなみに両車の燃費は、それぞれ19.1キロと33.2キロだ。特にHVは、よっぽど非常識な運転をしない限り、25キロを下回ることは難しい感じ。しかし、ヤリスのすごさは燃費ではなく、ドライバーが意図した通りの挙動が引き出せることにある。
- 「国民車」ヤリスクロス
原稿を書く側にしてみると非常に困るクルマだ。何か得意な芸があって、そこに集中して説明すれば伝わるというクルマではなく、オールラウンダー型の車両なので良いところを挙げていけばキリなく、それを全部書いていては冗長になる。かといって端折ると正確ではなくなる。正直だいぶ困っているのだ。
- ヤリスのトレードオフから考える、コンパクトカーのパッケージ論
ヤリスは高評価だが、満点ではない。悪いところはいろいろとあるが、それはパッケージの中でのトレードオフ、つまり何を重視してスペースを配分するかの結果だ。ヒューマンインタフェースから、なぜAピラーが倒れているかまで、コンパクトカーのパッケージに付いて回るトレードオフを、ヤリスを例に考えてみよう。
- ヤリスとトヨタのとんでもない総合力
これまで、Bセグメントで何を買うかと聞かれたら、マツダ・デミオ(Mazda2)かスズキ・スイフトと答えてきたし、正直なところそれ以外は多少の差はあれど「止めておいたら?」という水準だった。しかしその中でもトヨタはどん尻を争う体たらくだったのだ。しかし、「もっといいクルマ」の掛け声の下、心を入れ替えたトヨタが本気で作ったTNGAになったヤリスは、出来のレベルが別物だ。
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