さて前編に引き続き、後編で扱うクルマは、トヨタ・ハリアー、スバル・レヴォーグ、マツダMX-30の3台である。
まずはハリアーから。詳細記事はこちら。ハリアーはおっさんたちのハートを射貫いてヒット作になった。デビュー時から書いているが、これは現代の「マークII」だと思う。2020年のいま、ファーストカーとして使うなら、Bセグメントで必要十分。「足るを知る」を地で行くならそこが最もコストパフォーマンスが高い。
現代の「マークII」、ハリアー
しかし、ちょっと良いモノが欲しいという欲望もまた人の普遍的な感情で、かといって本格的な高級車は今や500万円では全く手が届かない。そんな時代に身の丈に合う高級感こそがハリアーの本質であり、それはとてもマークIIっぽい。
そこそこ豊かに見えて、一方でオラオラなステータス感がない。シュッとしている。馬鹿に見えない。割と普遍的なニーズであるにもかかわらず、そこにはまる商品はこれまであまり無かった。
クルマとしての基本は、トヨタ肝いりのTNGAであり、走行性能もまたしっかりしているし、運転していて「いいクルマ感」の手応えも感じられる。ドライバーズカーな所もまたマークIIっぽい。運転している間中「日本のクルマもよくなったなぁ」と思え、実際、ブランドステータスを除けばベンツのCクラス辺りより良いと思う。そりゃ売れるだろう。
トヨタ自慢のハイブリッドのおかげで、実燃費でリッターあたり19キロくらいは走ってくれる。このボディサイズのものの燃費としては望外の素晴らしさで、ガソリン車禁止論的世の中においても優等生である。
- ビンテージイヤーに乗った特筆すべきクルマ(前編)
さて、筆者は2020年は日本車のビンテージイヤーであると主張しているが、まずはその前編。2020年を代表するクルマとして、トヨタ・ヤリスの3兄弟である、ヤリス、ヤリスクロス、GRヤリスを取り上げる。
- レヴォーグで提示されたスバルの未来
シャシー性能に注力したスバルの改革は、本当にスバルに相応しい戦略だ。すでに何度も書いてきているが、フラット4の余命はそう長くない。CAFE規制の今後を見れば、少数生産の特殊エンジンとして生き残ったとしても、いつまでも主力ではいられないだろう。その時「スバルの走りとは何か?」と問われたとして、このレヴォーグのSGPセカンドジェネレーションには十分な説得力があり、スバルがスバルでい続けられる理由が相当に明確になった。
- マツダMX-30で1800キロ走って見えたもの
そもそもMX-30に与えられた使命は、電動化の牽引役だ。年明けにはいよいよ国内でもEVが出る。これは以前プロトタイプに乗ったが、スーパーハンドリングマシーンと呼べる出来になるはずである。次の時代に向けた実験的取り組みは、全てこのMX-30がテストベッドになる。そのクルマの基礎素養がこれだけ好もしいものであったことで、期待は高まろうというものだ。
- MX-30にだまされるな
マツダの電動化の嚆矢(こうし)となるMX-30をどう見るか? このクルマのキャラクターをつかもうと思うのであれば、変化球モデルだと思わない、スポーツ系モデルだと思わない、ついでにフリースタイルドアのことも電動化のことも全部忘れる。そうやって全部の先入観を排除して、普通のCセグのSUVだと思って乗ってみてほしい。その素直で真面目な出来にびっくりするだろう。
- 日本勢の華麗なる反撃 アイサイトX
高度運転支援システムにまつわる「考え方」的な諸問題を解決し、使いやすく便利で、なおかつモラル的な逸脱をしっかり抑制したADASへと生まれ変わったのが、今回デビューしたアイサイトXだ。また大袈裟だといわれるのを覚悟して書くが、アイサイトXは、2020年の時点では世界最高のADASだといえるし、少なくとも市販モデルに搭載されたシステムとしては、最も自動運転に近づいたシステムである。
- ハリアーはアフターコロナのブースターとなるか?
多くの読者はすでにハリアーが今年の大注目モデルであること、そして売れ行き的にもとんでもないことになっていることをご存知のことと思う。7月17日にトヨタから発表された受注状況は、それ自体がちょっとしたニュースになっている。
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