不満点はリアシート。これもまたデビュー時から書いているが、リアシートの出来は良くない。空間は十分に広いのだが、座席そのものの出来が他の水準と全く合わないレベルでダメ。ぱっと座って、トルソアングル、つまり背もたれの角度がおかしい。幸いにもリクライニングが付いているので背もたれを立てるとトルソアングルはまあ良くなるのだが、座面の前上がり角が全然足りない。この記事を書くにあたって、1週間ほど借りて乗ったが、リアシートはだいぶ辛い。どちらか選べといわれたら、狭くてもヤリスクロスの方が良い。
広さはあるものの、惜しいハリアーのリアシート
座っていると腰が痛くなって、終いには斜めになったり尻を前に出したり、もぞもぞと動き続けなくてはならなくなる。3人で出かけた房総半島一周では、最後にはリアシートに誰が座るかで壮絶な譲り合いになった。これはおそらくSUVとして、車中泊などを念頭に置き、フロントシートを倒した時のフラットさを優先したせいだと思うが、いつも書くとおり、椅子の多機能はまず座る性能をちゃんと確保してからの話である。ここだけは早急に改善を望みたい。
とはいえ、このクルマの基本的性格はドライバーズカーであり、運転席に座っている限りとても満足なクルマでもあるので、リアシートはほぼ荷物置き場という人ならば良いのかもしれない。
- ビンテージイヤーに乗った特筆すべきクルマ(前編)
さて、筆者は2020年は日本車のビンテージイヤーであると主張しているが、まずはその前編。2020年を代表するクルマとして、トヨタ・ヤリスの3兄弟である、ヤリス、ヤリスクロス、GRヤリスを取り上げる。
- レヴォーグで提示されたスバルの未来
シャシー性能に注力したスバルの改革は、本当にスバルに相応しい戦略だ。すでに何度も書いてきているが、フラット4の余命はそう長くない。CAFE規制の今後を見れば、少数生産の特殊エンジンとして生き残ったとしても、いつまでも主力ではいられないだろう。その時「スバルの走りとは何か?」と問われたとして、このレヴォーグのSGPセカンドジェネレーションには十分な説得力があり、スバルがスバルでい続けられる理由が相当に明確になった。
- マツダMX-30で1800キロ走って見えたもの
そもそもMX-30に与えられた使命は、電動化の牽引役だ。年明けにはいよいよ国内でもEVが出る。これは以前プロトタイプに乗ったが、スーパーハンドリングマシーンと呼べる出来になるはずである。次の時代に向けた実験的取り組みは、全てこのMX-30がテストベッドになる。そのクルマの基礎素養がこれだけ好もしいものであったことで、期待は高まろうというものだ。
- MX-30にだまされるな
マツダの電動化の嚆矢(こうし)となるMX-30をどう見るか? このクルマのキャラクターをつかもうと思うのであれば、変化球モデルだと思わない、スポーツ系モデルだと思わない、ついでにフリースタイルドアのことも電動化のことも全部忘れる。そうやって全部の先入観を排除して、普通のCセグのSUVだと思って乗ってみてほしい。その素直で真面目な出来にびっくりするだろう。
- 日本勢の華麗なる反撃 アイサイトX
高度運転支援システムにまつわる「考え方」的な諸問題を解決し、使いやすく便利で、なおかつモラル的な逸脱をしっかり抑制したADASへと生まれ変わったのが、今回デビューしたアイサイトXだ。また大袈裟だといわれるのを覚悟して書くが、アイサイトXは、2020年の時点では世界最高のADASだといえるし、少なくとも市販モデルに搭載されたシステムとしては、最も自動運転に近づいたシステムである。
- ハリアーはアフターコロナのブースターとなるか?
多くの読者はすでにハリアーが今年の大注目モデルであること、そして売れ行き的にもとんでもないことになっていることをご存知のことと思う。7月17日にトヨタから発表された受注状況は、それ自体がちょっとしたニュースになっている。
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