クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

ビンテージイヤーに乗った特筆すべきクルマ(後編)池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/6 ページ)

» 2020年12月21日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

 不満点はリアシート。これもまたデビュー時から書いているが、リアシートの出来は良くない。空間は十分に広いのだが、座席そのものの出来が他の水準と全く合わないレベルでダメ。ぱっと座って、トルソアングル、つまり背もたれの角度がおかしい。幸いにもリクライニングが付いているので背もたれを立てるとトルソアングルはまあ良くなるのだが、座面の前上がり角が全然足りない。この記事を書くにあたって、1週間ほど借りて乗ったが、リアシートはだいぶ辛い。どちらか選べといわれたら、狭くてもヤリスクロスの方が良い。

広さはあるものの、惜しいハリアーのリアシート

 座っていると腰が痛くなって、終いには斜めになったり尻を前に出したり、もぞもぞと動き続けなくてはならなくなる。3人で出かけた房総半島一周では、最後にはリアシートに誰が座るかで壮絶な譲り合いになった。これはおそらくSUVとして、車中泊などを念頭に置き、フロントシートを倒した時のフラットさを優先したせいだと思うが、いつも書くとおり、椅子の多機能はまず座る性能をちゃんと確保してからの話である。ここだけは早急に改善を望みたい。

 とはいえ、このクルマの基本的性格はドライバーズカーであり、運転席に座っている限りとても満足なクルマでもあるので、リアシートはほぼ荷物置き場という人ならば良いのかもしれない。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.