クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

ビンテージイヤーに乗った特筆すべきクルマ(後編)池田直渡「週刊モータージャーナル」(5/6 ページ)

» 2020年12月21日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

マツダMX-30

 今年最大のダークホースはMX-30だった。詳細記事はこちら。実はこれで紀伊半島を一周した。総走行距離1800キロ。乗れば乗るほど良いと思った。スペック上は今年のモデルの中で最も普通。むしろ読者の方々から見れば「おまけ」くらいに見えるのではないか? ところがこのクルマの馴染むことといったら、ちょっと別格であった。

このクルマの馴染むことといったら……MX-30

 乗り心地が良く、加減速も抑制が効いており、違和感ゼロ。操舵感覚も穏やかで心穏やかにいられる。かといって高負荷領域に持ち込んでもちゃんと付いて来る。一通りADASも完備されていて、不足を感じないし、ちゃんと機能する。12月7日の記事にも書いた通り、現在のベストマツダである。

 フリースタイルドアのおかげで、補助席扱いされるリアシートだが、このリヤシート、長距離座っていても全く疲れない。そういう意味では広々としたスペースを持つハリアーと対照的で、決して広大ではないが、シートそのものの出来で評価を上げた。もしリヤシート・オブ・ザ・イヤーというものがあったとしたらコレに贈呈したいくらい快適だった。後席に座るのが罰ゲームにならない。

後席が罰ゲームにならないMX-30

 トヨタのハイブリッドによる超絶燃費であるとか、アイサイトXの革新的ADASとかの、分かりやすい飛び道具がひとつも無いクルマだが、日々の生活のパートナーとしてこれだけのクルマはなかなか無い。目立たない当たり前のことを全部地道に磨き上げたという意味で、これはまた特筆に値するクルマであった。

 燃費はリッターあたり13キロ台。こちらもマツダのxEV計画に期待したい。

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