さらにアイサイトXの素晴らしさにも触れておかないと、読者の期待に応えられないだろう。以前も書いたのだが、アイサイトXは現在最強のADASだと思う。圧倒的に違うのは準天頂衛星システムみちびきによる測位が行われている時で、高速道路においては現在考え得る限り最も自動運転に近い。
高速道路において最も自動運転に近いレヴォーグのアイサイトX
日産のプロパイロット2.0と比較すると操舵(そうだ)の制御が上手い。プログラムの良さもあるのだろうが、フルインナーフレームによるボディと操舵系の剛性向上が非常に効いている。クルマのボディは入力に歪(ひず)む。それが線形に歪むのなら演算で補正もし易いのだろうが、結局のところ、金属は「ばね」なので、あるところまで抵抗し、そこで屈服して変形し、またその先で耐える。戻る時も同じで、入力に対する変形は一定ではないのだ。
それをプログラムに織り込むのは大変で、結局一番の早道はボディの剛性を高めることだ。だからアイサイトXの制御の上手さは電子的な部分だけでなく、そこを可能な限り補正値を単純化している物理領域の改善、つまり剛性向上があってこそなのだ。ということで自動運転に向かうと、ボディの技術が極めて重要であるという大切なことをレヴォーグは実証してみせてくれた。
燃費は厳しかった。トータルでリッター12キロあたり。そこはスバルの掲げるxEV計画のハイブリッドに期待をかけておく。あとは価格設定次第である。
- ビンテージイヤーに乗った特筆すべきクルマ(前編)
さて、筆者は2020年は日本車のビンテージイヤーであると主張しているが、まずはその前編。2020年を代表するクルマとして、トヨタ・ヤリスの3兄弟である、ヤリス、ヤリスクロス、GRヤリスを取り上げる。
- レヴォーグで提示されたスバルの未来
シャシー性能に注力したスバルの改革は、本当にスバルに相応しい戦略だ。すでに何度も書いてきているが、フラット4の余命はそう長くない。CAFE規制の今後を見れば、少数生産の特殊エンジンとして生き残ったとしても、いつまでも主力ではいられないだろう。その時「スバルの走りとは何か?」と問われたとして、このレヴォーグのSGPセカンドジェネレーションには十分な説得力があり、スバルがスバルでい続けられる理由が相当に明確になった。
- マツダMX-30で1800キロ走って見えたもの
そもそもMX-30に与えられた使命は、電動化の牽引役だ。年明けにはいよいよ国内でもEVが出る。これは以前プロトタイプに乗ったが、スーパーハンドリングマシーンと呼べる出来になるはずである。次の時代に向けた実験的取り組みは、全てこのMX-30がテストベッドになる。そのクルマの基礎素養がこれだけ好もしいものであったことで、期待は高まろうというものだ。
- MX-30にだまされるな
マツダの電動化の嚆矢(こうし)となるMX-30をどう見るか? このクルマのキャラクターをつかもうと思うのであれば、変化球モデルだと思わない、スポーツ系モデルだと思わない、ついでにフリースタイルドアのことも電動化のことも全部忘れる。そうやって全部の先入観を排除して、普通のCセグのSUVだと思って乗ってみてほしい。その素直で真面目な出来にびっくりするだろう。
- 日本勢の華麗なる反撃 アイサイトX
高度運転支援システムにまつわる「考え方」的な諸問題を解決し、使いやすく便利で、なおかつモラル的な逸脱をしっかり抑制したADASへと生まれ変わったのが、今回デビューしたアイサイトXだ。また大袈裟だといわれるのを覚悟して書くが、アイサイトXは、2020年の時点では世界最高のADASだといえるし、少なくとも市販モデルに搭載されたシステムとしては、最も自動運転に近づいたシステムである。
- ハリアーはアフターコロナのブースターとなるか?
多くの読者はすでにハリアーが今年の大注目モデルであること、そして売れ行き的にもとんでもないことになっていることをご存知のことと思う。7月17日にトヨタから発表された受注状況は、それ自体がちょっとしたニュースになっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.