これはGRヤリス RZ "High Performance"とGRヤリス RZのRZ系と、GRヤリス RSに分けて話をしなくてはならないだろう。こちらも試乗記のリンクを張っておこう(GRヤリス 一番速いヤツと一番遅いヤツ)。
RZ系のラリー競技をベースとしたとてつもない図太さは、ちょっと他に例がない。カミソリではなくナタのようだ。どこからどう踏んでも、どうステアリングを切っても、着実なリアクションを返してくる感覚は強烈で、我々が普段乗っているクルマとは別物だといえる。まあもちろんのこと、どんな無茶な操作でも受け付けるという意味ではなく、相応の流儀に則った操作の範囲でという話ではある。
特にラリー仕様に仕立てたクルマを、ダートのジムカーナコースでしごき回した感覚は忘れられない。こんなに思う通りに走るのかと感激し、もうこのままずっと走っていたいと思った。基本的にハイパフォーマンスカーには関心が低い筆者ですら、そういうことになってしまったところに自分でも驚いたくらいである。
一方で、公道で許される範囲で走るのであればRSはとても良い。わずか264万円で、古き佳きスポーツハッチのイメージを残しながら、高精度組み立ての特別な凄みも感じさせてくれる。エンジンパワーを求めない筆者はGRの中ではこのRSに特に惹かれる。……という話をそろそろ切り上げなくてはならない。もっと大事な話があるからだ。
GRヤリスの最大のポイントは、その生産改革にある。トヨタはGRヤリスのために、元町工場にGRファクトリーという専用工場を設けた。ここでは「セル方式」をベースにした全く新しい生産手法が取り入れられた。
- ビンテージイヤーに乗った特筆すべきクルマ(後編)
日本のクルマはとても良くなった。筆者が自動車雑誌の出版社に入ったのは1987年で、まだバブルの真っ最中。それから33年、長い月日をかけて、日本車は世界のクルマとトップを競えるようになった。後編で扱うクルマは、トヨタ・ハリアー、スバル・レヴォーグ、マツダMX-30の3台である。
- GRヤリス 一番速いヤツと一番遅いヤツ
GRヤリスの試乗会は今回が3度目である。そして年の瀬の足音が近づいてきた今頃になって、ようやく公道試乗会に至ったわけである。多分GRヤリスが欲しいという大抵の人には、RZ“High performance”がお勧めということになるだろう。こういうクルマは、買ってから後悔するくらいなら全部載せが無難だ。
- ヤリスの何がどう良いのか?
ヤリスの試乗をしてきた。1.5リッターのガソリンモデルに約300キロ、ハイブリッド(HV)に約520キロ。ちなみに両車の燃費は、それぞれ19.1キロと33.2キロだ。特にHVは、よっぽど非常識な運転をしない限り、25キロを下回ることは難しい感じ。しかし、ヤリスのすごさは燃費ではなく、ドライバーが意図した通りの挙動が引き出せることにある。
- 「国民車」ヤリスクロス
原稿を書く側にしてみると非常に困るクルマだ。何か得意な芸があって、そこに集中して説明すれば伝わるというクルマではなく、オールラウンダー型の車両なので良いところを挙げていけばキリなく、それを全部書いていては冗長になる。かといって端折ると正確ではなくなる。正直だいぶ困っているのだ。
- ヤリスのトレードオフから考える、コンパクトカーのパッケージ論
ヤリスは高評価だが、満点ではない。悪いところはいろいろとあるが、それはパッケージの中でのトレードオフ、つまり何を重視してスペースを配分するかの結果だ。ヒューマンインタフェースから、なぜAピラーが倒れているかまで、コンパクトカーのパッケージに付いて回るトレードオフを、ヤリスを例に考えてみよう。
- ヤリスとトヨタのとんでもない総合力
これまで、Bセグメントで何を買うかと聞かれたら、マツダ・デミオ(Mazda2)かスズキ・スイフトと答えてきたし、正直なところそれ以外は多少の差はあれど「止めておいたら?」という水準だった。しかしその中でもトヨタはどん尻を争う体たらくだったのだ。しかし、「もっといいクルマ」の掛け声の下、心を入れ替えたトヨタが本気で作ったTNGAになったヤリスは、出来のレベルが別物だ。
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