中国の春節は「Not Go To トラベル」〜帰省させず特典配布浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(2/5 ページ)

» 2021年01月28日 07時00分 公開
[浦上早苗ITmedia]

帰省には陰性証明書が必要

 昨年2020年の春節休みは1月24日からだったが、前倒しで休暇を取った武漢市民が市外に出て感染を全国に広げたため、中国政府は1月23日に同市をロックダウンした。

 今年の春節は2月12日で、法定休暇は11〜17日の1週間だ。中国当局は春節の前後を含む40日間(1月28日〜3月8日)に、17億人が移動すると見込んでいる。コロナ前の2019年より4割少ないが、より感染力が高いと言われる変異種が海外で広がり、中国でも海外からの流入、無症状感染者からの拡大が確認される中で、移動そのものがリスクであることは間違いない。

 都市部で働く出稼ぎ労働者が春節に帰省し、感染を広げるのを警戒し、中国国家衛生健康委員会は1月23日、帰省を予定する農村出身者向けのガイドライン」を公表した。

  1. 帰省にあたっては、7日以内に発行されたPCR検査の陰性証明書が必要。また、帰省後は14日間自宅にて健康観察を義務付け
  2. 1月28日以降に帰省した人は、帰省7日目と14日目にPCR検査を行う
  3. 自宅健康観察期間は体温と健康状態の報告が必要だが、外出は禁止されない
  4. 帰省を受け入れる村は、帰省者の記録、健康観察、啓発活動などを体系的に行う

 帰省そのものを禁じてはいないが、かなり面倒な手続きを課している。さらにコロナの拡大初期から対策を指揮してきた国家衛生健康委員会専門家グループ長の鍾南山氏も、手を合わせて「帰省しない皆さんに感謝します」と呼びかける動画を配信し、帰省しづらい空気が広がっている。

中国の鍾南山氏が「帰省しないで」と呼びかける動画(出典:百度の運営する動画サイト「好看視頻」

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