ウィズコロナの時代とは、これまで以上に不確実性の高い中でより適切な意思決定をしなくてはならない時代です。そうした時代に必要な能力や心構えをいくつか挙げてみました。
(1)シミュレーション力:これは将来に適切に備える力につながります。例えば、いつコロナが収束に向かうかを数パターンシミュレーションし、それぞれの状況に応じた適切な打ち手を考える必要があるでしょう。いわゆるシナリオ・プランニングの手法も応用して、いくつかの「ありうる未来」を日常から構想する能力がより必要となってきます。
(2)メディアリテラシー:これは(1)の条件にもなってきますが、多種多様な情報が行きかうメディアの中からバランス良く適切な情報を取捨選択し、それらを自分の頭の中で整理・統合し、自分の考えの根拠とする力が必要になります。誰がどのようなポジションや思惑から語った話なのか、俗耳になじみやすい扇動的な言説(その極端なものは陰謀論)に乗せられていないかなど、「情報」についてより敏感になる必要があります。自分で考えずに他人の受け売りをするのは止めましょう。
(3)バイアスに敏感になる:どのような状況であっても人間はバイアス(『MBA心理戦術101』 )から逃れられないものですが、ウィズコロナの時代には、そうしたバイアスがいつも以上に人々の思考に影響を与えることがあります。「正常性バイアス」「権威」「自信過剰」「確証バイアス」「楽観バイアス」などです。
例えば 「自信過剰」 についていえば、根拠はないのに自分だけはコロナウイルスで重症化したり死亡したりしないと思い込んでいる人はかなり多いはずです。実はこうしたパンデミックの状況は、バイアスに引きずられないことも含め、人間の理性が試されている場面ともいえるのです。
嶋田毅
東京大学理学部卒、同大学院理学系研究科修士課程修了。戦略系コンサルティングファーム、外資系メーカーを経てグロービスに入社。グロービスMBAシリーズ」の著者、プロデューサーも務める。著書に『グロービスMBAビジネス・ライティング』『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス思考法45』『グロービスMBAキーワード 図解 基本フレームワーク50』『ビジネス仮説力の磨き方』(以上ダイヤモンド社)、『MBA 100の基本』(東洋経済新報社)、『[実況]ロジカルシンキング教室』『[実況』アカウンティング教室』『競争優位としての経営理念』(以上PHP研究所)、『ロジカルシンキングの落とし穴』『バイアス』『KSFとは』(以上グロービス電子出版)、共著書に『グロービスMBAマネジメント・ブック』『グロービスMBAマネジメント・ブック?』『MBA定量分析と意思決定』『グロービスMBAビジネスプラン』『ストーリーで学ぶマーケティング戦略の基本』(以上ダイヤモンド社)など。グロービス経営大学院や企業研修において経営戦略、マーケティング、事業革新、管理会計、自社課題(アクションラーニング)などの講師を務める。グロービスのナレッジライブラリ「GLOBIS知見録」に定期的にコラムを連載
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