雑談をする目的は、社員同士がリラックスしてコミュニケーションが取れるようにすることにあります。そのためには、あまり意識せずに気軽に参加できるようにしてあげることが大事です。事前に準備をしなければならないようなものではなく、あくまで日常の近況報告や好きなものの話など、仕事を離れて、気軽にチームのメンバーが話をできるような環境を整えてあげることが大事です。
雑談は、強制されてするものではありません。ある会社のマネジャーの方から「テレワークでコミュニケーションがなくなったので、雑談時間を作ろうと思う。一度オブザーバーとして参加してほしい」と相談がありました。そのマネジャーは真面目な方で、部下に平等な機会を与えたいと「全員参加の雑談時間」を作りました。
結果は、なかなかうまくいかず、会話がはずみませんでした。メンバーからは「雑談ではなく仕事の会議のようだ」という意見も出てきました。後日、雑談時間を任意参加に変えたところ、少しずつうまくいきはじめたようです。つまり雑談には、自由さがなければいけません。
筆者が講師を担当している大学の講義では、コロナ禍でオンライン授業になってから、授業開始20分前にZoomのトークルームを開放して「アイドリングタイム」という時間を設けています。もちろん自由参加です。当初は学生も戸惑っていたようですが、筆者がラジオDJのように日常生活の話をすることから始めました。はじめは参加者が少なく反応が薄かったのですが、徐々に学生が参加してきて、半年後には毎回3割くらいの学生が参加してくれるようになり、「アイドリングタイムが楽しみ」という声も聞こえるようになりました。
恐らく、堅苦しい授業の延長のようにしていたら、この取り組みはうまくいかなかったのではないかと思います。「気楽に、自由に、何でも話していい」という場づくりは、とても重要だと感じました。
さて、テレワーク環境で少なくなった雑談時間を増やすことも大事なのですが、果たして「雑談を増やす」だけで組織マネジメントはうまくいくのでしょうか。
先日、ある会社でマネジャー向けにテレワークマネジメント研修をやらせていただきました。参加者したマネジャーの一人から「チーム内のコミュニケーションが円滑でなく、雑談の時間を作ったがそれでもうまくいかなかった。これは、テレワークの問題ではなく、そもそもチームとしての信頼関係が作れていないことが一番の問題だと思う」という話がありました。なぜそう感じるのかと聞いたところ、「そもそも、マネジャーの私も、チームメンバー同士も、お互いのことをよく知らない。だから、雑談をしようにも、何を話していいのか分からないのだと思う」ということでした。
別の人からはこんな話も聞きました。「もともと上司は合わないタイプだったのだが、テレワークになって上司と顔を合わせなくとも良くなりストレスから解放された」。テレワーク環境になり、今まで気を遣っていた対人関係のストレスが少なくなり同じように感じている方も多いのではないでしょうか。
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