ストレスを解消し、コミュニケーションを活発にするテレワーク中の「雑談」、真のポイントとは?「雑談時間」をつくるだけでは不十分(4/4 ページ)

» 2021年02月01日 05時00分 公開
[高橋実ITmedia]
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(1)「プラス1往復」のコミュニケーションを意識する

 まず、相手とのやりとりの中で「プラス1往復」のコミュニケーションを行うことを意識することです。普段での仕事のやりとりに、さらにお互いもう1往復コミュニケーションを増やすように意識してコミュニケーションを取ることだけで、情報量は増えます。

部下:「依頼されていた資料、完成したので送ります」

上司:「ありがとう。お疲れさまでした。ところで、大変だったのはどんなところ?

部下:「えーと。別の仕事があって、並行して行うのに時間を見つけるのが大変でした」」

上司:「そうだったんだね。忙しいのに気付かず申し訳ない。ありがとう


 このときに意識するのは「相手が返してくれる」ことを意識してコミュニケーションしてみることです。特に文字コミュニケーションの場面では効果的です。

(2)「話したくなるツール」を活用する

 信頼関係ができていない相手とは、言葉でだけでなく相手が「話したくなるツール」を活用するのも有効です。筆者は、部下との面談などで、画像のようなツールを画面越しに活用しています。

 これを部下へオンライン越しに見せて「今の気持ちはどんな感じ」と聞くのです。部下は必ずこの中からどれかを選ぶので、「なぜこれを選んだの?」と聞いてあげればいいのです。そうすれば、そこから部下の視点の情報を多く話してくれるようになります。このように話のきっかけになるツールを活用してみるのも効果があります。

(3)自分の情報も積極的に伝える

 信頼関係のベースは「お互いの情報量」です。一方的な情報だけでは、信頼関係は構築できません。よくあるのは、相手の情報を一生懸命集めて、自分の情報を相手に伝えないというコミュニケーションで、上司側によくあるケースです。筆者は、テレワーク環境になってから、今まで以上に自分の情報を積極的に発信するようにしています。人は相手の情報が足りないときに不安になり、相手とのコミュニケーションを躊躇(ちゅうちょ)するからです。自分の情報を積極的に伝えることによって、相手が持つ自分の情報量も増え、それは相互の安心感につながっていきます。

テレワークは浸透し始めたばかり、恐れずトライ&エラーを

 こうしてみると「テレワークでのコミュニケーションは大変だな」と思う方もいらっしゃるかもしれません。多くのメンバーとコミュニケーションをとらねばならない上司の方は、さらに仕事が増えたと感じるかもしれません。しかし、テレワーク環境は始まったばかり。まだたった1年しかたっていません。うまくいかなくて当然だと思います。

 テレワーク環境にメリットを感じている人も多いはずです。これまで辛かった通勤時間がなくなったり、家族との時間が増えたりした人もいるでしょう。テレワークは社会全体でトライ&エラーを繰り返し、多くの体験を積んでいかねばならない時期だと思います。

 コロナ禍は、これまで曖昧にしてきた本質的な課題を解決できるチャンスです。苦労しながらも変わりゆく社会にチャレンジしていく企業はすでに多くのノウハウを経験しています。目の前のことに縛られてやめてしまうという選択をするのは簡単なことですが、少しずつチャレンジしていくことも大切なのではないでしょうか。

著者プロフィール・高橋 実(たかはし みのる)

組織・人事クリエイティブディレクター/マイクロ人事部長

株式会社モザイクワーク 取締役

株式会社ティーブリッジェズカンパニー 代表取締役

法政大学 兼任講師ほか、複数企業の人事責任者として従事。

慶應義塾大学卒業後、株式会社ジェーシービーでインターネット黎明期の新規事業立ち上げに従事、その後NTT、トヨタのクレジットカード事業立ち上げに参画。その後人事に転身し、トヨタファイナンス株式会社、創業100年企業、株式会社HDE(現HENNGE株式会社)で人事部長を歴任したのち、「人事の複業」として複数企業の人事責任者としてハンズオンで企業の組織改革を手掛けている。

新卒、中途、アルバイト採用変革、外国人採用、人事制度改革、女性人材活用、組織改革プランの企画・実行、HR Tech導入、労務実務改革、組織健康戦略、戦略総務(BCP/リスクマネジメント/オフィスファシリティマネジメント)など、企業の中に入ってハンズオンで行っている。セミナー登壇・メディア出演多数。

「高橋実@マイクロ人事部長」としてnoteでも情報発信を行っている

note:「高橋実@マイクロ人事部長」


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