今回のGROOVE Xとの業務提携契約は、20年10月1日に日立GLS 執行役員CDO 兼 Chief Lumada Business Officerに就任したばかりの田岡敬氏が先導してスタートした計画だ。氏は、元ニトリホールディングス上席執行役員としても知られる。
つまり、GROOVE Xとの提携契約は打診から発表まで約2カ月と、大企業としては異例のスピード決定となった。そもそも、なぜ日立GLSはGROOVE Xとの提携を考えたのだろうか? この質問に対して谷口社長は「最初は大きく2つの理由からGROOVE Xに興味があった」と答えた。
1つは、消費者を理解するための入り口としての「LOVOT」の存在だ。日立GLSには、大きく2つの事業がある。1つは家電を中心としたBtoC(消費者向け)事業、そしてもう1つが業務用空調などを中心としたBtoB(ビジネス向け)事業だ。
谷口社長は「どちらの事業にも共通する事業目的は、『生活者の生活の質を向上させる』ことだ」と断言する。特に家電を中心としたBtoC事業においては、生活者の生活の質を上げるためには、どういった暮らしをし、どのような困り事があり、どんなことに喜びを感じるかを、詳細に理解することが重要だという。このため同社は、生活者の理解のためにどんな接点が作れるかをずっと模索していた。そして、この解決方法のひとつとしてLOVOTには可能性を感じたと話す。
もう1つの理由が、日立GLS製品に「新しい価値」を生むこと。従来日立GLSが作ってきた洗濯機や冷蔵庫といった家電製品は「衣類をどうキレイに洗うか」「食材をいかに美味しく保管するか」といった機能的な価値を基準に開発されていた。
しかし、今後は機能だけではなく心に訴えかけるような「感情(情緒)的価値」、つまり心の豊さを満たすという側面も製品へ盛り込む必要があると感じていると谷口社長は言う。そして、GROOVE XのLOVOTは、まさに日立GLSが考えていた「感情(情緒)的価値」の高い製品だという。
なぜ次々と新ジャンル? バルミューダが社長一本槍から脱却目指すワケ
「100億円プレーヤーはもう飽きた」変わり続けるバルミューダの野望
「家電事業統合」控える日立、AIが“洗い方”決める洗濯機を発表
東電・日立・パナソニック、住宅向けIoTの実証試験を開始 電気の“ムダづかい”防ぐ
日立の家電、“省エネ”前面アピールやめた理由
日立、テレビ「Wooo」の国内販売中止 ソニーと連携強化し「BRAVIA」販売へ
アイリスオーヤマ、東京・浜松町にR&D拠点を新設 “メーカーOB”採用し家電強化へCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング