ファーウェイと米国の攻防において日本は蚊帳の外にいるため、同社が今どういう状況にあるのかはあまり伝わってこない。ファーウェイ・ショックの着火点となった孟副会長は今どうしているのか。
孟副会長はトランジット先のカナダで、米国の要請を受けたカナダ当局に逮捕され、19年1月に「ファーウェイがイランとの取引を行うために、米国とHSBC(香港上海銀行)を欺いた」として、詐欺罪などで起訴された。その後、バンクーバーの裁判所で、孟氏の米国への引き渡しを判断する審理が始まった。
孟氏側は「起訴内容はカナダでは罪に当たらない」と主張したが、裁判所は20年5月に同氏の主張を退けた。審理は21年3月に再開され、現在は「逮捕の手続きの正当性」が争われている。
孟氏の代理人は「孟氏の行為は香港で行われたものであり、米国の管轄権の及ばない海外での行為に米国の法律の網をかけるのは、国際法に違反している」と主張。さらに孟氏の逮捕の手続きには、合理的な理由のない逮捕令状の発行・執行や権力の濫用など、多くの違法行為が存在すると訴えている。
また、孟氏側は20年から「トランプ大統領が貿易交渉の切り札にするため、孟氏の訴訟手続きに不当に介入している」とも主張している。中国外交部も3月18日の記者会見で「孟晩舟事件は、完全な政治案件だ」と、改めて米国を批判した。
孟氏の判決は5月に出る見込みだが、米国への引き渡しが決定したとしても、孟氏が上訴するのは確実で、司法手続きの決着には数年かかると見られている。
さらに3月19日、22日には、中国で2年前にスパイ容疑で拘束されたカナダ人2人の審理が非公開で始まった。中国側は孟晩舟氏逮捕の「報復」を否定するが、カナダに揺さぶりをかけているのは明らかだ。
カナダ検察は、「トランプ氏はすでに大統領職を退いており、介入も起きていない」として「政治の司法手続きへの影響」を否定するが、孟氏の代理人は「大統領が代わっても、米政権の介入姿勢は変わらない」と反論する。
英が一転5G排除、中国ファーウェイに迫る次の「Xデー」
7月14日、英政府が5G通信網からファーウェイを排除すると発表した。欧州各国はアメリカによる同社排除以降、中国との関係を深めたが、コロナ禍で悪化した対中感情などが背景にあると見られる。また同社は2020年前半の決算を、英政府発表の前夜午後11時すぎにひっそりと発表しており、カナダで拘束中の孟副会長の2度目の審理日「Xデー」が近いともされている。
ジャック・マー氏“失踪”直前のスピーチ全文(前編)
2カ月余り公の場に姿を現さず、その消息がさまざまな憶測を呼んでいるアリババのジャック・マー(馬雲)前会長。2020年10月24日に氏が行ったスピーチが、中国の金融当局を批判し、習近平国家主席らの怒りを買ったとの説もあるが、実際の発言と大きくずれた報道も増えている。そこで、筆者訳のスピーチ全文を全2回に分けて紹介したい。
ジャック・マー氏“失踪”直前のスピーチ全文(後編)
アリババのジャック・マー(馬雲)前会長が、2カ月余り公の場に姿を現さず、消息についてさまざまな憶測が流れている。氏が2020年10月24日のスピーチで、中国の金融当局を批判したため、習近平国家主席らの怒りを買ったとの説もある。今回は、筆者訳のスピーチ全文の後編を紹介する。
フィンテック「金縛り」のアリババ、市場予想を上回る決算発表 〜今後はローエンド市場を強化
アリババグループは2月2日、2020年第3四半期決算を発表した。中国当局の監視が厳しくなる中、売上高は前年同期比37%増の約3兆5600億円、純利益は同52%増の約1兆2800億円と、市場予想を上回るものとなった。今後は、コロナ禍の消費変化に対応する新事業やのローエンド市場を強化する方針を強調した。
「6年前のM&A」でアリババに罰金、企業分割もちらつかせる中国当局の真意
アリババなど中国大手IT企業3社が12月14日、独占禁止法違反で50万元(約800元)の罰金を課せられた。いずれも過去のM&Aを当局へ申請しなかった点が問題視されている。世界ではGAFAへの規制が強まっているが、中国をデジタル大国に押し上げた立役者であるメガIT企業に対しても、同様に当局の姿勢が締め付けへと変化している。
上場延期で衝撃、中国・アントを知る5つのキーワード
史上最大のIPOと注目されていた中国アリババの金融子会社アント・グループの上場延期が11月3日に発表された。ジャック・マー氏ら幹部3人が前日に金融当局の指導を受け、上場計画の見直しを迫られたことが理由だ。本稿ではアントの歴史や事業構造、今後の見通しなどを5つのキーワードからひも解いていく。
バイトダンスとオラクルの説明にズレ〜 TikTokは米中どちらの企業なのか
中国バイトダンスのショート動画アプリ「TikTok」と、米オラクル、米ウォルマートとの技術提携案が今月19日、トランプ大統領の「原則承認」を受けた。しかし、バイトダンス、米企業2社の発表文のニュアンスにずれが生じており、TikTok新会社の立ち位置を巡り、憶測や波乱の芽を生んでいる。
米国のWeChat禁止令で「ファーウェイが伸びアップルが失墜」の可能性
トランプ米大統領が8月6日、「TikTok」のバイトダンス、「WeChat(微信)」のテンセントとの取引を、9月下旬から禁止する大統領令に署名した。TikTokは想定内だが、サプライズなのがテンセントだ。WeChatがアプリストアから削除されれば、iPhoneの出荷台数は25%以上減少するとみるアナリストもいる。
「孫正義氏はアリババへの投資で運を使い切った」中国メディアが分析するソフトバンク低迷の要因
ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長が6月25日、中国EC最大手のアリババの取締役退任を表明した。5月にはアリババ創業者のジャック・マー氏が、SBGの取締役を退くと発表。一方SBGは、2020年3月期の連結決算で過去最大の最終赤字を計上しており、中国メディアでは「孫氏はアリババへの投資で運を使い果たした」という辛辣な分析も出ている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.