トランプ後も制裁継続、世界巻き込む半導体戦争へ<ファーウェイの現在地・上>浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(2/5 ページ)

» 2021年03月25日 07時00分 公開
[浦上早苗ITmedia]

「脱中国ブランド」途上の挫折

 「ファーウェイのことを世界に知らしめてくれた。トランプ大統領に感謝する」

 2019年後半から20年春にかけ、創業者の任正非CEOを始めとするファーウェイ幹部たちは、冗談交じりにそう発言することがあった。確かに、トランプ大統領に標的にされるまで、同社のことを知っている外国人は多くなかった。

 筆者が「ファーウェイ(華為)」という名前を最初に聞いたのは08年だ。ビジネス領域を専門とする中国人研究者が、グローバル化ができそうな中国企業として「ハイアール」「レノボ」と並んでファーウェイを挙げた。当時、ハイアールは既に有名で、レノボもIBMのPC事業を買収したことで、一気に注目されていた。

 中国人研究者は、ファーウェイを「人民解放軍出身の創業者が設立した」「大手が見向きもしない農村部、アフリカからシェアを広げ、米国で警戒され始めている」「秘密主義で中国でも謎の企業というイメージが強い」と紹介した。

 そのファーウェイは2010年代に入ると、iPhoneの成功を見てスマートフォンに進出し、中国企業に対して比較的ニュートラルな欧州で猛烈にシェアを広げ始め、いくつかの国でシェア2位に食い込んだ。

 ファーウェイは急成長とハイエンド化に伴い、日本からの部品調達を増やし、11年にはファーウェイ・ジャパンが中国企業として初めて経団連に加盟した(プレスリリース)。

11年にはファーウェイ・ジャパンが中国企業として初めて経団連に加盟(プレスリリース

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