前回はコロナ禍をはじめとするビジネス環境の変化や、その中でのパフォーマンス・マネジメントの見直しに向けた基本的な考え方や論点についてお伝えしました。今回は実際のパフォーマンス・マネジメントの基盤となる、評価制度の考え方を解説します。
企業の評価制度では、その年の目標の達成度(アウトプット)と、その目標を達成するために発揮された能力や行動(インプット)の2つの側面で社員を評価することが一般的です。日本企業であってもグローバル企業であっても、この評価の枠組み自体が大きく変わることはありません。目標の達成度(アウトプット)はMBOやOKRといった一定の枠組みの中で評価され、能力や行動(インプット)は企業のポリシーに応じて、情意、保有能力、発揮能力といった評価要素のいずれか、または複数が、評価者による期中の観察結果を元に評価されます。
評価要素 | 定義 |
---|---|
情意 | 被評価者の目標達成に向けての取り組み姿勢、態度 |
保有能力 | 被評価者が保有している能力(期中の発揮の有無は問わない) |
発揮能力(≒コンピテンシー) | 被評価者が目標達成に向けて期中に発揮した能力、行動 |
一見、情意よりも保有能力を、保有能力よりも発揮能力を評価する方が“進んでいる”ように見えるかもしれません。ただ、欧米企業で使われることの多いバリュー評価は情意の一種と見なせます。一概に情意が他の評価要素よりも“遅れている”わけではありません。また大切なのは進んでいるかどうかではなく、それを評価することが会社や社員の成長につながるか、またその評価制度を使って何を評価するべきなのを、評価者・被評価者双方が正しく理解しているかどうかです。
クライアントの人事制度をレビューする際に、以下のような評価項目と評価基準を目にすることがあります。
評価項目 | 評価基準 |
---|---|
達成志向 | 困難な状況下にあっても、熱意を持って最後までやり抜く |
皆さまはこれを読んで何を評価する項目だと思われるでしょうか。
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