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パナソニック“次の100年”のキーパーソン、Shiftall 岩佐CEOに聞く(前編)家電メーカー進化論(3/8 ページ)

» 2021年05月27日 07時00分 公開

息をするように、新たなビジネスを作り出す必要性

 インタビューの冒頭で岩佐氏は、「繊維産業が衰退して、馬車が自動車になり、EV(電気自動車)になろうとしているように、すべての企業は現存のビジネスが全てなくなる前提で次を探さなければならない」と語った。

 家電メーカーは、20世紀初頭に家庭の電化が進むのと同時に勃興し、約100年繁栄してきた。これは自動車産業もほぼ同じだ。

 「大企業は家電や車を作って販売店で売ればもうかるという特定の勝ちパターンを確立したから成長した。しかし、ネットフリックスなどの登場でBlu-ray Discやプレーヤーを作って売るというビジネスが衰退したように、どのビジネスもいつかなくなる。製品のライフサイクルや時間がどんどん短くなっている中では、新規事業を作り、ダメならすぐにやめるという繰り返しを、息をするようにやり続けないと、大企業でも生き残れない」(岩佐氏)

 スマートフォンが登場し、ツイッターやインスタグラム、フェイスブック、ライン、ユーチューブなどのネットサービスに情報があふれかえったことで、人々の興味が一気に移り変わるようになったと岩佐氏は指摘する。

 「音声コミュニケーションサービスの『Clubhouse(クラブハウス)』などもドカーンと一瞬で立ち上がったのがいい例だ。誰もがアクセスするような大きなブームはすぐ過ぎ去ったが、今後それはさらに加速していく」(岩佐氏)

 岩佐氏はCerevo時代によく「グローバルニッチ」というキーワードを掲げていた。ニッチなニーズに応えるような製品でも、グローバルに展開すればビジネスになるという意味だ。Shiftallがパナソニック傘下になったとしても、この方針は変わらないという。

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