そんな岩佐氏が、現在Shiftallとして力を入れているのが「VR(バーチャルリアリティ)」だという。
VRがグローバルニッチな分野だから参入するという意味合いに加え、“パナソニック未開の地”であるVRに、一員として切り込んでいくことにも意味があった。
「今まさにVRビジネスが急速に立ち上がっている状況だが、VRビジネスが立ち上がっている状況を見てから『VRデバイスを作ろう』と考えて開発を開始し、2年もかかったらブームが過ぎてしまう。これは、現実としてサービスが終わるという意味ではなく、VRのブームが15年だとしたら、最初の3年を失うのは15分の3を失うことになる。
クラブハウスが人気だが、『音声ビジネスはまだこれからだから、しばらく様子を見て判断しよう』と考えてていたら、他社のビジネスが成功するだけで、自社では何もできずに終わってしまうということだ」(岩佐氏)
VR空間内で握手する岩佐氏のアバター(左)と、VR向けモーショントラッキング機器「Haritora X」をShiftallと共同開発するエンジニアのizm氏(右)のアバター(出典:Shiftallのプレスリリース)アクションカメラの「GoPro(ゴープロ)」がまさにそうだと岩佐氏は指摘する。
「アクションカメラというカテゴリーが人気だが、かつて『市場が立ち上がるのは、まだまだでしょう』と見ていると、あっという間にGoProが市場の90%以上を占めてしまった。『GoProも立ち上がったし、他のベンチャーも出てきたからうちもやろう!』と、先駆者の成功を見てから思い立っても、それで追いつけるわけがない。
アーリーアダプター層から一般消費者までが興味を持つほどまで市場が立ち上がってから、満を持して高性能で最もコスパのいい製品を出せば売れるという時代は、すでに終わってしまった。ここ15年ほどの歴史を見ると『ファーストムーバー(あるいは、最初にジャンルを確立したジャンル・メイカー)の総取り』の時代になっている」(岩佐氏)
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