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» 2021年06月09日 07時00分 公開

出向・転籍の進め方 必要な手続き、人事的な配慮、助成金制度など解説コロナで増えている(2/5 ページ)

[企業実務]

 特に、社会保険に関しては、実際に賃金を支払っている会社で社会保険に加入し、保険料もその会社で負担をすることになりますが、賃金を出向元と出向先で別々に支払っている場合、将来の年金等で労働者が不利となる場合があります。

 出向労働者が出向元と出向先の両方で社会保険に加入している場合、出向元と出向先の賃金額を合算した額を元に保険料を計算、保険料負担に関してはそれぞれで支払っている賃金額を元に保険料を按分(あんぶん)して支払うことになります。

 しかし、出向労働者がどちらかの会社で社会保険に加入していない場合、社会保険に加入しているほうでしか保険料を納められません。そのため、出向元と出向先、いずれかでしか社会保険に加入できない場合で、出向元と出向先が賃金を別々に支払うと、納める保険料が本来納めるべき額よりも低くなってしまい、将来の年金額等に影響が出てしまいます。

 また、雇用保険に関しても、出向元と出向先で別々に賃金を支払っている場合、社会保険と同様の問題が発生します。

 雇用保険も社会保険と同様、保険加入と保険料負担は実際に賃金を支払っている会社で行うからです。しかも、雇用保険は、そもそも複数の事業所で加入することができません。

 雇用保険の給付は、雇用保険に加入していた会社での在職中の賃金額によって金額が決まるため、出向元と出向先で賃金を別々に支払っていると、雇用保険からの各種給付の金額が、本来もらえた額より少なくなってしまうのです。

 ちなみに、出向元と出向先で賃金を別々に支払う場合、出向労働者の雇用保険の加入先は、より賃金額の大きいほうとなります。

 労災保険の保険料に関しては、賃金を支払うのがどちらの会社であっても、基本的に出向先が負担することになります。これは出向労働者の安全配慮義務を負うのが出向先であるためです。

 このように、出向労働者の賃金の支払方法については、公的保険の加入や保険料負担の面からも考える必要があります。少なくとも、保険だけを見るなら出向元か出向先のどちらかに給与の支払いを集約するほうが合理的です。

 また、保険料負担以外の最低賃金や割増賃金などの賃金に関する法的責任は、基本的に給与を支払う側が負うことになります。

転籍を行う際の注意点

 転籍では、現在所属している会社と労働契約を終了し、転籍先の会社と労働契約を結ぶことになります。しかし、労働者の合意なく労働契約を終了すると、たとえそれが転籍のためであっても、それは解雇となります。

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