インデックスETFを組み合わせてロボットがアルゴリズムに基づき、リバランスなどを自動で行うのが、従来の国内ロボアドサービスの基本的な内容だ。しかし昨今、人によるアドバイスを組み合わせるハイブリッド型が広まりつつある。
今回ハイブリッド型のロボアドをスタートするフィデリティだけでなく、国内ロボアドトップのウェルスナビは、地方銀行と組んでハイブリッドロボアドのサービスを徐々に増やしている。
背景には、米国の事例がある。預貯金が資産の過半を占める日本とは違い、米国は個人金融資産の約半分を金融資産で運用しているといわれ、投資先進国だ。しかし、金融サービスに詳しい明治大学の沼田優子特任教授は、米国でも当初は日本に近かったと言う。
「米国ではワンオペ問題が解消されることで、金融資産構成が変わっていった。従来は、アドバイスがありかなしかだった。現在は、多様なアドバイスが登場し、これによってワンオペ問題が小さくなっていった」
米国においても、直販やネット証券を使い、自身の判断で投資を行っているのは12%に過ぎないという。簡易アドバイスが普及していく中で、ワンオペ問題が解消され、これが投資の普及につながった。米国では、大手のバンガード、チャールズ・シュワブ、ベターメントなどが人によるアドバイスを付け加えたハイブリッド型のロボアドサービスを展開し、利用者を急速の拡大させた。
利用者の視点では、アドバイスコストは単なる安心料ではない。アドバイスの内容は、「行動コーチングを重視し、例えば短期的な相場変動に一喜一憂することなどをなくし、結果的に長期運用成績の向上につなげる。どの銘柄がお勧めか、いつ買えばいいのか、いつ売ればいいのかというのは一線を画すアドバイスだ」(久保田氏)というもので、利用者の金融リテラシーを長期的に上げることを狙っている。
こうしたアドバイスによる平均的なリターンの上昇効果はアドバイザーズアルファと呼ばれる。沼田特任教授は、アドバイスの種類にもいろいろあるとしながらも、「アドバイスをすることによるパフォーマンスの押し上げは、だいたい3%くらいといわれている」と話した。
アドバイス付きのロボアドは日本でも根付くかどうか。また0.55%のアドバイス費用が、利用者にどう評価されるかが注目される。
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