こう書くと、投資先を徹底的に調査するとか、ほかの人が気づいていないような兆候を見つけてうまく投資するようなイメージを持つかもしれない。しかしSUSTENでは、そのようないわゆるアクティブファンドが採る手法ではなく、行動経済学などに基づいて、投資家がしばしば取ってしまう不合理な行動をリターンの源泉としている。
「例えばディスポジション効果だ。投資家は含み益のある投資を早く手仕舞いすぎる一方、含み損のある投資の損切りがなかなかできない。痛みをなるべく遅らせるために、例え非合理であっても損切りを避けてしまう。これは行動経済学でいうプロスペクト理論で説明できるとされている」(山口氏)
インデックス投資の理論的な背景となる古典的な金融理論では、市場参加者は同じ能力と同じ情報を持っていて、その情報を使って瞬時に合理的な判断を行うことが前提とされている。理論が導く結論は大枠では誤ってはいないが、前提に無理があるため、完全、完璧ではない。この認知の歪(ゆが)みを利用して利益を上げようという仕組みだ。
具体的にはいくつかの歪みを用い、6つほどの戦略を組み合わせて実行している。例えば、価格変動の勢いが持続するという「モメンタム」なら、「国別の株式インデックスを見て、相対的にモメンタムが高そうなところを買い、薄そうなところを売る」(山口氏)といった具合だ。
これらは歪みを突く投資手法だとはいえ、絶対的なものではない。必ずもうかるという「フリーランチ」ではない。そのため株式とは異なるリスクを取っているという意味で、ARP(オルタナティブリスクプレミアム)と呼ばれる。SUSTENでは、「リスクを完全になくすことはできないので、複数の戦略に分散してコントロールする」(山口氏)手法を採っている。
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