テンセント、株価急落に続き「未成年者保護法違反」で提訴。毒物ゲーム「王者栄耀」が標的に浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(4/5 ページ)

» 2021年08月12日 07時00分 公開
[浦上早苗ITmedia]

批判繰り返されながらも軟着陸

 そもそも王者栄耀は15年11月のリリース以来、何度となく国営メディアの標的にされてきた。

 17年7月には人民日報が「王者栄耀が子どもの人生を壊している」との批判記事を掲載。小学生がゲームのヒーローの真似をして、高い所から飛び降りて重傷を負ったり、有料アイテムを買うために親のお金を盗むといった事件も発生していると糾弾した。

 テンセントは批判を受けて、未成年のプレイ時間を制限。親のスマートフォンやIDで遊ぶという抜け道を防ぐため、18年秋には顔認証を導入した。その後も子どもがゲームをやりすぎないためのさまざまな措置を講じ、当局に目をつけられながらも、大事には至っていない。

 テンセントの20年10-12月のオンラインゲームによる収入は391億元(約6700億円)だが、16歳以下のユーザーからの売り上げの割合は3.2%にとどまっており、未成年ユーザーの利用を制限しても業績への直接的な影響は少ないようだ。

スマートフォンは、中国でもオンラインゲームの重要なプラットフォームのひとつ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.