テンセント、株価急落に続き「未成年者保護法違反」で提訴。毒物ゲーム「王者栄耀」が標的に浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(2/5 ページ)

» 2021年08月12日 07時00分 公開
[浦上早苗ITmedia]

国営メディアの批判でテンセント株暴落

 経済参考報に8月3日午前に掲載された記事はかなりの長文で、

 ・中国の未成年の62.5%が日常的にオンラインゲームで遊んでいる

 ・未成年のモバイルゲームユーザーの13.2%が、平日も2時間以上オンラインゲームをしている

 ・中国の少年少女の半分以上が近視

 ・オンラインゲームのやりすぎて学業や性格にも影響・異変が出ている

 というように、eスポーツも含むオンラインゲームが、未成年の心身に悪影響を及ぼしている現状が列挙され、オンラインゲームを「精神のアヘン」「電子毒物」と形容するところで、最初のクライマックスを迎える。

 さらに、小学生が夢中になっているゲームとして「王者榮耀」を挙げ、運営するテンセントゲームズの市場シェアが54.46%と非常に高いことや、王者栄耀の2020年のデイリーアクティブユーザーが1億人を超え、中毒になりやすいことを指摘し、第二の山場であるテンセント批判が繰り広げられる。

 ただ、1本の記事で株価が10%以上下がるという尋常ではない事態の直接の原因は、記事の中身よりも冒頭にあると思われる。

 記事は「最近、『小中学生の宿題と塾・習い事の負担を軽減するための意見』が公表され、児童・生徒がネット中毒にならないように電子製品を適切に使用することも求められた」と始まっているが、この「意見」こそが中国企業株を大混乱に陥れており、市場関係者はテンセントが巻き添えを食らうと考えたのだ。

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