鉄道事業者側にも中づり広告減小に対応する動きがあった。14年にJR東日本は山手線向けの新型車両「E235系」の投入を発表した。車内広告媒体として窓上に三連液晶モニターを搭載し、中づり広告を廃止する方針だった(詳細は、筆者記事参照)。
しかし、当時はまだ中づり広告は鉄道の副収入の要であり、特に山手線は収益の柱だった。結局、広告業界からの強い要請を受けて、E235系電車には中づり用の金具が後付けされた。
中づり広告を完全に撤廃した通勤電車は17年に誕生した西武鉄道の40000系電車だ。車内の小さなステッカー広告を除く広告はすべてデジタルサイネージになった。中づり広告があった部分にも画面が設置されている。
同様の装置はJR西日本が321系電車や225系電車で採用しており、中づり広告と併用している。10年にはJR東日本も成田エクスプレス用の259系電車にフライトインフォメーション用として搭載された。現在は広告スペースとして販売も行われている。
鉄道業界は緩やかに、中づり広告のデジタル化を進めているといえそうだ。
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