『文春』と『新潮』が中づり広告から撤退、それでも車内広告に未来はある杉山淳一の「週刊鉄道経済」(5/7 ページ)

» 2021年08月20日 12時47分 公開
[杉山淳一ITmedia]

 メトロアドエージェンシーの広告販売資料によると、中づり広告は掲載日の前日に掲出開始するため、その作業日の2営業日前午前に印刷済みの広告を車両基地に納品する。金曜日に掲出する広告は3営業日前の火曜日だ。原稿は月曜日に完成し印刷する必要がある。

 一方、週刊誌の最終入稿は発売日前々日だ。直前に特ダネが入っても広告には反映できない。特ダネと差し替えられて消えた記事が広告に出てしまう。ギリギリまでスクープを待つ必要があるし、他紙との競争もある。ネットニュースもライバルだ。このタイムラグは歯がゆい思いだろう。

 このタイムラグによって「ライバルの中づり広告を入手し、特ダネを真似できる」可能性がある。17年5月に週刊新潮が掲載した「文春砲スクープ泥棒騒動」だ。文藝春秋社の営業担当者が出版流通業者から中づり広告のコピーを入手し、編集部に渡していたと糾弾した。出版流通業者は関与を認め、文藝春秋社は否定している(詳細は、当時の報道参照)。

 中づり広告の宣伝効果が弱まると、リスクのほうが目立ってしまう。

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