“パナの特許”と“世界ブランド”でイノベーション 2万円トースター誕生の裏側:家電メーカー進化論(6/7 ページ)
多くの大手家電メーカーではさまざまな家電製品を手掛けているため、オーブントースターへ炊飯機能をつけると社内でのバッティングが起きるが、千石には炊飯器がないからこそ実現できたそうだ。さらに新規製品として、コーヒーメーカーも来春発売予定として発表済み。トースターを軸に調理家電を広げて行く方針を打ち出している。
来春発売予定の「アラジン コーヒーブリュワー」。特許技術「バイパスドリップ」を採用
トースターを発売する以前の千石は、主力商品が石油ストーブだったため、「石油の千石さん」と呼ばれていたそうだ。しかし、現在では電気、石油、ガスの3本柱の熱源で商品群を構成している。
「石油ストーブは今は落ちてきて厳しい状態ですが、東日本大震災のときに需要がすごく伸びて増産体制を敷いて供給したこともあります。今の出荷減はその反動もあると思っています。
またコロナ禍によるアウトドア人気で、昨年はカセットガスの製品が伸びました。時代によって浮き沈みはあるので、単に一喜一憂するのではなく、それぞれをしっかりケアしながら3本柱からなる商品群として、続けていきたいと思っています」(千石氏)
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