製品の熱源だけでなく、千石の事業も3つのセグメントに分けられる。「B to Cの自社ブランド事業」「トースターやストーブなどを製造するB to BのOEM事業」「部品事業」だ。以前はOEM製品の受託製造が中心で、売り上げの約9割がB to Bだったそうだが、現在ではB to Bと自社ブランドによるB to Cがほぼ半々になった。
売上高は、2020年度12月期実績で172億円、アラジングラファイトトースターの販売台数は累計150万台を超えている。
「以前は部品事業とOEM事業を主体に利益をあげていて、アラジンは良くてトントンくらいだったので、自社ブランドはお金ばかりかかるというイメージがずっと続いていました。それを堪えてやってきたからこそ、16年以降のトースターにつなげられたと考えています。長期スパンで将来像を描ける“オーナー企業”だから続けられた側面もあると思います」(千石氏)
大手メーカーの家電やさまざまな部品を製造してきた千石。蓄積された技術力と生産体制に、アラジンというブランドとグラファイトヒーターが結びついたことで、「アラジングラファイトトースター」が誕生し、千石の家電メーカーとしての道は開けた。
しかし今後も、自社ブランド事業だけでなく、OEM事業や部品事業も継続して成長させて行くという。加西IC近くに新しくできる工場団地にOEM、部品事業向けの工場も建設予定だ。
「今は、アラジンの調子がいいからこそ、OEM事業のテコ入れをしていきたいと考えています。今後、アラジンがしんどくなった時にしっかり支えられるようにしたいですね」(千石氏)
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