20〜30代の男女を集めたグループインタビューで、参加者の一人から「グラスに入ったアイスコーヒーを飲むと、爽快な気持ちになる」といった意見があった。通常、“爽快”というワードから連想する飲料といえば、炭酸飲料やビールだろう。
ちょうど同じころ、担当者が試作した新しいコーヒーが試飲会で評判となっていた。それが、“香りが高いが、苦みの少ない”クラフトボスの原型につながるコーヒーだ。
なぜ、コーヒーで“爽快さ”を感じ、“苦み”を抑えたコーヒーが好評価を得たのか――。大塚氏は当時について「2つの違和感が同時に表出し、嗜好の変化があると感じた」と振り返る。
「当時はアイスコーヒーなどが100円で飲めるようになり、コーヒーの楽しみ方が一気に広がり消費が増えた時期でした。もしかすると、嗜好の変化があるのではないか。商品化してみる価値があるかもしれないと感じました」(大塚氏)
クラフトボスのもう一つの特徴といえば、「ペットボトル容器」を採用している点だ。これも、消費者の飲み方の変化を抑えたものだ。
日本で1リットル未満の小型ペットボトルが清涼飲料用の容器として使用され始めたのは、今から25年前の1996年から。つまり20〜30代は、物心ついたときからペットボトル入り飲料を飲用していた、「ペットボトルネイティブ世代」といえるのだ。
大塚氏はペットボトル入り飲料の普及も飲み方の変化に大きく影響していると分析。実際、消費者インタビューでも「缶コーヒーが嫌だ」という意見が出始めていたという。
「2000年ごろからのカフェブームで、プラカップに入ったコーヒーを飲むことが主流になりました。プラカップは中身が見え新鮮で飲みやすい印象を与えています。一方冷蔵庫や自動販売機のコーヒーは、長期保存用のイメージがある“缶”に入っている。そこにギャップを感じている人が多く存在していました」(大塚氏)
プラスチックの普及は、飲用スタイルにも大きな影響をもたらした。「かつては休憩中に缶コーヒーを飲んで仕事に戻って、また休憩するときに飲んで……。といったリズムでしたが、今はペットボトル入り飲料を買って、『ちびちび飲みながら仕事をする』スタイルが主流です。求める味と、飲み方・スタイルが変化しているなと感じました」
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