ここ数年、企業の人事評価制度を取り巻く環境が変化してきています。特にコロナ禍でのテレワークの急激な増加から、社員の仕事ぶりが見えず、人事評価が難しくなったという課題はよく聞かれるようになりました。
その他にも、ジョブ型人事制度への転換、ノーレイティングによる人事評価(=ABCなどランク付けによる年次評価を廃止する取り組み)、HRテックなどを活用した人事評価の導入といったことがトレンドとして認識されてきています。
こうした最新テーマにうまく対応し、人事評価制度を成功させた一部の企業事例が取り上げられています。その半面、中小企業のクライアントを中心とした人事制度コンサルティングに従事する筆者のもとには、日々失敗報告と相談が多く寄せられています。
個々のテーマに対して各企業がどのように対応していくべきか、その具体的な内容は本連載を通じて随時触れていきますが、第2回はそれらの手法自体のよしあしではなく、なぜ失敗する企業が多いのか、その原因について「人事評価制度の運用に対する経営者のビジョン」という側面から少し掘り下げて考えます。
企業経営者からの人事評価制度に関する失敗報告として、筆者のもとにこんな相談が寄せられました。
「全社的にテレワークに移行したが、社員の仕事ぶりが見えにくくなり、これまで自社で独自に運用していた人事評価制度が使いにくく感じるようになった。そこで、最近システム会社から提案のあった、“HRテックを用いたジョブ型人事評価(テレワーク対応)”という仕組みを導入したが、運用がうまくいかず、社員の満足度が下がっている」という内容です。
テレワークとジョブ型人事を結び付ける視点は、最近になってネットニュースなどでよく見かけるようになりました。コンサルタントの立場でも企業から同様の問い合わせを受けることが多くなりましたが、そのたびに、企業サイドが抱える課題感と課題解決の手段がマッチしていないという印象を受けます。
さて、先ほどの企業からの相談内容を掘り下げていくと、次のようにいろいろな課題が見えてきました。
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