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「やけくそ」でつくった切り餅調理機が大ヒット 洗車機トップシェア企業の個性的な開発方針とは家電メーカー進化論(3/6 ページ)

» 2021年11月16日 07時00分 公開

 一方、家庭用品では、毎日使う米の量を手軽に測れる計量米びつなどの生活雑貨を販売。そして76年に同社初の家電製品として、餅つき機「鏡もち」を発売する。その後、ホームベーカリーや精米機など、さまざまな家電製品を手掛けてきた。そんな中で、12年に社長に就任した丸山将一氏は家電の製造開発のあり方を変えていった。

 「昭和の高度成長期は自社工場での量産を前提にものづくりをしていましたが、バブル崩壊後から、そのやり方が通用しなくなっていきました。自社工場の稼働率を重視したものづくりがどうしても根底にあるのですが、それでは新しい発想が生まれてきません。工場の都合ではなく、お客様の一歩先にある欲しい物を作る方向に舵を切りました」

 そんな中、18年にエムケー精工を象徴する個性派家電が誕生する。それが「黒にんにくメーカー」だ。

18年に発売した「黒にんにくメーカー」。小型モデルや多機能モデルや大型モデルと、ラインアップも増えている

 そもそも黒にんにくとは、にんにくを高温多湿の環境に長期間置いて熟成させることで、全体をメイラード反応させた健康食品。一部ユーザーは、炊飯器の保温機能などを使って作っていた。

 「農家向けの大型貯蔵庫の営業担当が、にんにく農家さんから何かできないのかと相談を受けました。話を聞いたとき、私はやりたくないと言ったのですが、担当者が突っ走って作ってしまったのです。実は私は決裁していないのですよ(笑)。ですが、1年後くらいにブームが起き、結果的に売れましたね」(丸山氏)

 この「黒にんにくメーカー」のヒットを皮切りに、エムケー精工の家電ラインアップにちょっと変わった製品が増えていく。

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