大手企業74社が参画 ステーブルコインDCJPYで円がデジタル化、何が変わる?:金融ディスラプション(4/4 ページ)
では、DCJPYはどんなスケジュールで登場するのだろうか。デジタル通貨フォーラムはDCJPYのホワイトペーパーと同時に、プログレスレポートを公開し、各種ユースケースとその実証実験の検討を行っている。2021年度(22年3月)内には概念実証を開始し、22年度には実用化を目指すというのが、プログレスレポートに記載された今後の流れだ。
山岡氏は、「DCJPYの試験発行は22年中に行いたい」としながらも、いくつかの課題を挙げた。1つはスループットや処理において、どのくらいのボリュームをこなせるかという技術的な問題。そして、大きいのが、発行企業を増やせるかどうかだ。
デジタル通貨フォーラムには3メガバンクも名を連ねており、これらから試験的にDCJPYの発行が行われるだろう。銀行のシステムそのものに手を入れるわけではなく、プログラマブルな部分は外部のブロックチェーンで動作する分散型のシステムなので、システムとしては比較的軽い。しかし、DCJPY側の送金指示に従って銀行預金を振り込む必要があるので、銀行システムのアップデートは必要だ。
山岡氏は、「DCJPYの試験発行は22年中に行いたい」とし、また、欧州の中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行が早くても2026年以降とされていることと比較して「民間はそれよりは早くできるだろう」と話した。
- ディーカレットの「日本円」版リブラ計画 狙いを時田社長に聞く
価格変動が大きく決済に利用できないといわれる仮想通貨に対し、法定通貨を裏付けとして持つことで価格を安定させるステーブルコイン。Libraをはじめ、その可能性が注目されている。国内でも、円建てのステーブルコインを計画している、仮想通貨取引所のディーカレット。同社の時田一広社長に、その狙いを聞いた。
- ディーカレット、電子マネー扱いのステーブルコイン「プログラマブルマネー」 KDDIと実証実験
円建てのステーブルコインの開発を進めてきたディーカレットが、価格が円と連動したデジタル通貨の実証実験をKDDIと実施する。いわゆるステーブルコインは、現在の国内の法律では仮想通貨には当たらず、どんな取り扱いになるのか不透明な状態だ。ディーカレットは、今回資金移動型の電子マネーという扱いを取り、発行を可能にする。名称は「プログラマブルマネー」とした。
- 3メガバンクやKDDI、JR デジタル通貨決済の勉強会開始
みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行といった3メガバンク、そしてKDDI、セブン銀行、NTT、JR東日本など、日本を代表する企業が集まり、デジタル通貨決済の勉強会を開始する。主催であり事務局を務めるのは、インターネットイニシアティブのグループ企業で、仮想通貨交換業を営むディーカレットだ。
- 松屋銀座で使える日本円連動ステーブルコイン「JPYC」が伸びている理由
ステーブルコイン「JPYC」がじわじわと使われ始めている。JPYCとは仮想通貨イーサリアムのブロックチェーン上で発行された「前払式支払手段扱いのステーブルコイン」だ。JPYC社が1月に発行を開始した。発行総額は11月時点で3億円超。日本で個人が入手して利用できる円建てデジタル通貨としての存在感を持ってきた。
- ビットコイン離れ進む? 人気の仮想通貨に変化の兆し
仮想通貨の代表格といえばビットコインだ。すべての仮想通貨の起源であり、最も信頼されているものだ。しかし、2021年は絶対的王者であるビットコインが相対的に弱くなった年でもある。
- Libraを脅威と見る各国 それでも「ダメ」と言えない理由
結局のところ、投機資産として使われる従来の仮想通貨に対し、Libraは本当に使われるかもしれない仮想通貨だ。だからこそ、各国の金融当局はLibraへの警戒を強めるが、Libraが解決しようとしている「皆のための安価、簡便な支払い決済、送金手段の提供」は現代の金融の根本課題でもある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.