郷ひろみ、永作博美らが参加 悲鳴上げる中小企業を救うプロジェクトとは?SDGsは慈善ではない(2/6 ページ)

» 2022年03月12日 18時40分 公開
[武田信晃ITmedia]

倒産2560件 後継者不在65%超

 発表会では、経済アナリストの馬渕磨理子氏が中小企業の現状やSDGsについて解説した。馬渕氏は「中小企業が国内の99.7%、雇用者の7割を占めます。『資金不足・債務拡大』『人材不足・事業承継』『設備投資・DXの遅れ』が課題となっていて、これらの影響で倒産件数が増加しています」と問題点を語る。

経済アナリストの馬渕磨理子氏
『資金不足・債務拡大』『人材不足・事業承継』『設備投資・DXの遅れ』が課題となっている

 さらにSDGsについては「取り組んでいる」が73.1%と、意外に多くの会社が取り組んでいる一方で「広報活動に利用している」と答えたのは36.8%にとどまり、外部への発信に問題があることを指摘した。

SDGsに「取り組んでいる」が73.1%と、多くの会社が取り組んでいる一方で「広報活動に利用している」と答えたのは36.8%にとどまる(以下、馬渕磨理子氏の提供資料より)

 東京商工リサーチの調査によれば、普通法人のうち赤字企業は65.4%に上り、借入金は、20年は月商の5.32倍だったが21年は8.2倍にまで債務が拡大していることも分かった。20年から21年12月までのコロナ倒産は累計2560件に達し、生き延びている企業においても後継者については65.0%超が不在であるという問題もかかえていると説明した。

普通法人のうち赤字企業は65.4%に上り、借入金は21年は8.2倍にまで債務が拡大している

 馬渕氏は「現在は高度成長期ではないため、幸福度がプラトー(一定)の社会で、多様性、共感社会が支持をされます。経済的豊かさを手に入れた人類が次にほしくなるものは『最も価値が高いトレンド』であり、それがSDGs」と、昔とは異なる価値観の社会であることを訴えた。「SDGsに取り組むことは慈善ではなく強みになる」とも語った。

 実際に取り組むと、資金調達の可能性がでてくるほか、売り上げ・利益が向上し、環境面にも寄与し、企業のブランド価値を高め、かつ優秀な若い世代の人材の確保にまでつながるとした。ただし「SDGsにおいては取り組みを発信するところまでが重要で、PRの効果的な活用は企業経営の最重要課題でもある」とした。

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