郷ひろみ、永作博美らが参加 悲鳴上げる中小企業を救うプロジェクトとは?SDGsは慈善ではない(5/6 ページ)

» 2022年03月12日 18時40分 公開
[武田信晃ITmedia]

永作博美氏「時代が変わろうとしている」

 女優の永作博美氏にこのオファーを受けた理由を聞いた。

 「今までとは違う身近な企業を応援できる形というのが、私のなかで新しい試みだったからです。『止まった時があったからこそ生まれてきた今』ということを実感したからだと思いますが、このプロジェクトもその1つだと思います。時代の産物感がありますし、時代が新しく変わろうとしているのだと感じました」と話した。

 「コロナ禍の2年間は、『自分の大切なものって何だろう』ということを考えるようになりました。身近なものをいとおしく思えるようにもなりました。中小企業の方々にはそういう原点に戻って、進んでいってほしいと思いますし、これまで中小企業の方々が話されていたことはそういうことではないかと感じました。今後も中小企業のみなさんを勇気づけて、縁の下の力持ちになれればと思っています」と決意を語る。

女優の永作博美氏

市原隼人「中小企業に支えられて生活している」

 俳優の市原隼人氏にアンバサダーを引き受けようと思った理由を尋ねた。

 「まずお話をいただけたことが本当にうれしかったです。私たちは生まれたときから中小企業の皆さまに支えられて生活していますから、その中小企業の皆さまに対して私が尽力することは当たり前のことだと思っています。なので少しでも支援ができたらうれしいと思いました」

 市原氏は俳優として多くの映画撮影に携わる中でも、照明や小道具の会社など多くの中小企業の人々が作品作りに関わっていることを実感してきたという。また、今回のテーマSDGsについても自分なりに勉強したと明かす。

 「SDGsの17項目を実際に読んでみると、学校でいえば『廊下を走らないでください』『授業中しゃべらないでください』といったことと同じで、意外と当たり前のことが書かれているなと思いました。しかし一方で私は、人間は相手の気持ちを100%理解することはできないとも思っています。だからこそ、相手の立場に立とうと思う最初の1%の気持ちを大切にし、コツコツと重ねていく姿勢が大事だと、さまざまな人たちと出会う中で感じてきました」と思いの丈を話す。

 相手の立場に立つという考えに思い至った経緯を聞いてみた。

 「2016年ころから写真家としても活動しているのですが、その中でパラスポーツ選手や障がい者の方を撮影し、支援しています。実は私の父は障がい者になり、自分で車椅子を動かすことも難しくなっています。一緒にご飯を食べに行くと、『隼人ごめんな。こんな姿でごめんな。こんな見られ方をして恥ずかしいだろ?』と言われたとき僕は悔しかったです。父には『そんなことを思う必要はない。そう思わせる社会が間違っている』と言いましたが、私は父の気持ちを100%理解することはできていないと思いました。私は歩けますし、まだ若い。その経験から、最初の1%から相手の立場に立つことによって見えてくるものがあると思ったのです」

 SDGsの17の目標の中には「全ての人に健康と福祉を」「人や国の不平等をなくそう」といった障がい者への企業の取り組みと関連する項目が複数ある。その意味で、市原氏が言う相手の気持ちを理解する姿勢は、多くの経営者の参考にすべき考え方だと感じた。

 プロジェクトへの意気込みを聞くと「10年、20年たった時に、今やっていることが美しいことだったんだと胸を張って言えるような未来であってほしいです。一番大切なのは未来につなげることです。このプロジェクトも第3弾となりとましたが、尽力させていただきます」と話した。

俳優の市原隼人氏

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