今回の学生たちの提案が、実際に富良野市の施策として採択されるかどうかは今後の議論を見守る必要があるが、取り組みそのものは富良野市も価値を感じている。
北猛俊市長は、「物事を改革するのに大事なのは気付き。行政は新しいことに気付きにくいため、若い方の感性をいただくのは大変参考になります。新しい取り組みは失敗もあるが、失敗から学ぶこともあります。いろいろな取り組みを重ねていく機会をつくっていけるよう、行政としても努めていきたい」と、継続の必要性を強調した。
他方、参加した学生も、地域課題に向き合うことで意識が変わったという。
「普段の大学の研究と違って、地域住民の課題をテーマにすることは、誰もが使いやすいシステムをつくるなど、広い視点で考えることが必要なんだなと思いました」
「コストと効果のバランスは、普段の研究では考えていなかった。社会課題はそういう兼ね合いが大事なのだと知りました」
懸念すべきは、地方自治体の取り組みは年度が変わるなどして、予算が切れると突如終了することも少なくない点だ。そうならないためにも、今回のような産官学連携のプロジェクトを関係各所の中で仕組みとして確立するとともに、小さくても良いから具体的な成果を広く示すことが継続には不可欠だろう。やりっぱなしで終わらない最善策を導き出してもらいたい。
伏見学(ふしみ まなぶ)
フリーランス記者。1979年生まれ。神奈川県出身。専門テーマは「地方創生」「働き方/生き方」。慶應義塾大学環境情報学部卒業、同大学院政策・メディア研究科修了。ニュースサイト「ITmedia」を経て、社会課題解決メディア「Renews」の立ち上げに参画。
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