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売り上げよりも営業利益 オラクル出身の「イトーキ社長」に聞く“オフィス3.0”の意義新しいかじ取り役(1/6 ページ)

» 2022年06月08日 07時00分 公開
[中西享ITmedia]

 コロナ禍が長期化する中、オフィスを取り巻く環境も大きく変化している。その状況下でオフィス家具大手のイトーキが、『明日の「働く」を、デザインする」というミッションステートメントを掲げ、新しいオフィスづくりを提案している。

 その目標を達成するため、社外から初めて次期社長としてイトーキに招聘されたのが3月に社長に就任した湊宏司氏だ。湊氏はIT大手の日本オラクルで最高執行責任者(COO)を務めていた。イトーキの新しいかじ取り役に、今後の方針を聞く。

湊宏司(みなと・こうじ)1994年に日本電信電話会社(現NTT)に入社、2008年にサン・マイクロシステムズに入社、10年に日本オラクルのカスタマーサポート総括(サン・マイクロシステムズと経営統合)、15年に同社執行役員、社長室長。19年に取締役、副社長、最高執行責任者(COO)、21年9月からイトーキの顧問、22年3月にイトーキ社長に就任。51歳。大阪府出身

売り上げよりも営業利益

――イトーキに次期社長として招聘された背景は?

 3〜4年前、まだオラクルにいた時のことなのですが、当時、日本企業の「働き方改革」についてリサーチしていた際に、「明日の『働く』を、デザインする」というミッションステートメントを掲げている企業に目がとまりました。それがイトーキでした。オフィス家具のイメージだった企業が、「明日の『働く』を、デザインする」と、大上段に構えていることに驚きを覚えたとともに、強く心に残っていました。

 2021年にイトーキから社長就任の要請があり、なぜIT出身の私に声がかかったのかと思った一方、ミッションステートメントに強く心ひかれていましたし、「働く」に鍵括弧がついているところがオフィスだけを指しているのではなく、さまざまなワークプレースやワークスタイル、心身の健康といったテーマまで含んでいるところに可能性を感じたのが、一番の理由です。

――入社してみて社風などの違いを感じましたか。

 イノベーションのDNAを持った会社だと感じました。ホッチキスや魔法瓶、万年筆、レジなどは今では当たり前に使われているものですが、これらを日本に持ち込み、広めたのがイトーキです。

 1890年(明治23年)の創業当時から、海外の発明特許品を日本に普及させることで社会への貢献を果たそうと、先見性と開拓精神でイトーキを築き上げてきたわけですが、今もそのDNAは受け継がれていて、常に新しいことにチャレンジしようという精神があります。外資系IT出身の私を社長に採用をしたことも、その精神が生き続けていることの証明といえるでしょうね。

イトーキのオフィス
(撮影:河嶌太郎)
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