投信積立、楽天キャッシュなら0.5%還元が継続可能な、そのカラクリ金融ディスラプション(4/6 ページ)

» 2022年07月06日 07時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

クレカ積立の事業モデルーーコストは決済手数料

 では、楽天キャッシュならば大丈夫なのか? という本題に入る前に、クレカ積立のコスト面をひも解いてみよう。

 クレカ積立は、要はクレジットカード決済で投信を買っているわけで、基本的にはカードでモノを買うのと同じだ。このときのコストは、加盟店と呼ばれる販売側が負担する。クレカ積立でいえば、楽天証券が加盟店にあたる。

 経済産業省は「キャッシュレス・ビジョン」の中で、現状のカード取引のコスト・収益構造を図解している。これによると、加盟店が支払う手数料の平均は3.24%だ。もちろん、楽天証券は楽天カードの子会社にあたり、手数料はグループシナジーのために限界まで下げているだろう。

経済産業省が「キャッシュレス・ビジョン」の中で示した、カード取引のコストと収益構造(経済産業省)

 それでも最低限必要なコストがある。おそらく楽天証券のアクワイアラは楽天カードだろうからアクワイアラコストはかからないにせよ、オーソリや売上データプロセッシングネットワーク(CAFISなど)にネットワーク接続料を払う必要はあるだろう。また、VisaやMastercardなどの国際ブランドには計0.1%のブランドライセンスフィーを払わなければならない。そしてもちろん、楽天カードは受け取った手数料を原資にして1%分の楽天ポイントを発行するわけだから、その分は少なくとも必要だ。

 こう考えると、楽天証券が支払う加盟店手数料はどんなに少なくても1%を上回る。1〜2%といったところだろうか。ちなみに、年間200万人のクレカ決済ユーザーが全員上限の5万円を積み立てると、2%の場合で年間手数料は240億円に達する計算になる。

証券会社がクレカ積立を行うときのコスト構造

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