信託報酬の低いファンドもあれば、高いファンドもある。これらがバランスよく売れていれば、平均すれば収益率はそれなりになっただろう。しかし昨今のトレンドは、低報酬のインデックスファンドだ。
その代表格であるeMAXIS Slimシリーズは、5月に国内公募投信の純流入額で1位、2位を占めた。純流入額とは、購入のための入金額から解約などによる出金額を引いたもの。要は一番売れたファンドだということだ(eMAXIS Slim米国株式、月間流入額で初の1位 累計1兆円突破)。
もちろん、クレカ積立の還元率に魅力を感じて口座を作ったユーザーが、別の投資を行うという効果もある。投資信託事業で損失が出ても、顧客獲得コストと割り切る考え方だ。実際、クレカ積立を武器の1つとして成長したのが楽天証券であり、コストがかかっても顧客獲得効果は明白だともいえる。
ところがそうして獲得したユーザーが200万人にも上ると、状況も変わってくる。2021年12月期の時点で、楽天証券の業績は利益面で足踏みした。原因はポイントやカード決済費用のコストを中心とした取引関係費が大きく膨らんだことだ。前年から41.5%増加し、387億円あまりと費用の中で最大。売上高にあたる営業収益が895億円であることを考えると、この金額の大きさが分かる。
いくら新規顧客が増加しトップラインが増加しても、このペースでコストが増加しては成り立たなくなる。それが楽天証券が今回の決断に至った背景にある。
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