投信積立、楽天キャッシュなら0.5%還元が継続可能な、そのカラクリ金融ディスラプション(6/6 ページ)

» 2022年07月06日 07時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]
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楽天キャッシュを普及させる武器に

 いろいろな点で楽天証券側に有利な取り組みのように見えるが、その背景にはアクティブな200万人のユーザーがいることを忘れてはならない。

 楽天証券がクレカ積立を開始した際には、楽天カードが持つ楽天経済圏のユーザーを楽天証券に取り込むことが狙いだった。そのために1%還元のコストを払ってきたわけだが、それは現在の楽天証券の躍進につながっている。

 一方で現在は、毎月5万円近い決済ニーズを持つユーザー200万人を楽天証券が抱えている。決済事業者にとっては、投信積立に対応すれば200万人のアクティブユーザーを取り込めることになる。これは多少のコストを負担してでもメリットがある。楽天キャッシュを普及させたいがために、こんな判断をしたのではないか。

 カード決済のコストが負担になっていた状態から、今度は200万ユーザーを活用して楽天キャッシュ普及の足がかりに転換する。その結果、事業単体として継続可能な形で、0.5%還元を継続できる仕組みを楽天証券は作り上げた。

 これはなかなか他社には真似しにくい。ある大手ネット証券幹部は「クレカ積立をやりませんか? とたびたびクレジットカード会社から提案があるが、絶対に採算が合わない」と漏らす。グループの経済圏をいかに活用し、どうシナジーを提供できるかで、このモデルの長期的な成功が決まるといえよう。

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