投信積立、楽天キャッシュなら0.5%還元が継続可能な、そのカラクリ金融ディスラプション(2/6 ページ)

» 2022年07月06日 07時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 例えば、楽天証券主催のユーザー投票で先進国株式部門でアクティブファンドトップとなった「キャピタル世界株式ファンド」はどうだろうか。こちらの信託報酬は合計で年率1.694%。うち運用を行う運用会社の取り分が「委託会社分」と呼ばれる0.825%で、販売を行う証券会社の取り分が「代行手数料」と呼ばれる0.825%だ。そして、証券を管理する信託銀行の取り分が「受託会社分」と呼ばれ0.044%となっている。

アクティブファンドでは信託報酬が高く、代行手数料も0.825%と比較的高額だ

 なるほど、このファンドを買い付けてもらえれば、残高の中から毎年、0.825%が証券会社に入ることになる。これであれば、買い付け時に1%のポイントを還元しても、2年も保有してもらえれば利益が生まれる。

 これがクレカ積立をスタートした当初の目論見だったわけだ。

 ところが、この数年で人気が爆発したのは、腕利きのファンドマネージャーが投資先を厳しく選別するアクティブファンドではなく、市場平均にそのまま投資するインデックスファンドだ。インデックスファンドの特徴は、信託報酬が低いこと。同投票で先進国株式部門インデックスファンドトップとなった「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」の信託報酬はどうだろうか。

インデックスファンドでは信託報酬は非常に低く、代行手数料は20分の1以下となる0.04015%にすぎない

 こちらの信託報酬は0.1023%。この時点で先のアクティブファンドの10分の1以下だ。そして、委託会社分が0.04015%、代行手数料も0.04015%。受託会社分も0.022%となっている。証券会社の取り分も、20分の1以下になっていることが分かる。

 このファンドの買い付け時に1%のポイント還元を行うと、代行手数料で還元分を回収するのに25年もかかる。これではいくらなんでもビジネスとして成り立たない。

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