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パワハラを根絶するために知るべき“5つのポイント”働き方の「今」を知る(1/8 ページ)

» 2022年07月18日 07時00分 公開
[新田龍ITmedia]

 パワハラ被害に関するニュースが後を絶たない。もしかしたらあなたが勤めている、もしくは経営している会社にも、パワハラによって多大な精神的、肉体的苦痛を受けている被害者がいるかもしれない。

 「当社に限ってそんなことは……」と思うかもしれないが、前回の記事でも説明した通り、パワハラの加害者は無自覚であることが多く、また被害者は声を上げづらい。

 この記事では、パワハラが表ざたになった際のリスクや、パワハラ被害を未然に防ぐ方法、パワハラが起きてしまった際の対処法などを5つの項目にまとめた。自社に心当たりがある方もない方も、決して他人ごとと思わずに職場環境を振り返るきっかけとしてもらいたい。

1.パワハラが表沙汰になった際のリスク

パワハラが表沙汰になった際のリスクは……(画像はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

 もし、被害者が声を上げて自社内でパワハラが発生していたことが判明し、それが公になったら、組織はどのようなリスクにさらされるのだろうか。

1-1.使用者が負う責任

 まずは、使用者は法的責任と行政責任を負う可能性がある。

・不法行為責任

 使用者は、労働者が職務遂行中に第三者に損害を与えた場合、使用者責任として損害賠償責任を負う(民法715条)。

・債務不履行責任

 使用者は労働者の安全に配慮する義務を負っている(労働契約法5条)。パワハラの発生は職場の安全配慮義務に違反したものとして、債務不履行責任(民法415条)を問われる場合がある。

・行政責任

 パワハラ防止法にのっとり、事業主が労働局から助言、指導、勧告といった行政指導を受ける可能性がある。

1-2.加害者が負う責任

 さらにパワハラ加害者は刑事責任と懲戒リスクを負う。

・刑事責任

 加害内容に応じて「傷害罪」(刑法204条)や「暴行罪」(刑法208条)、「脅迫罪」(刑法222条)、「名誉毀損罪」(刑法230条)「侮辱罪」(刑法231条)などが成立する可能性がある。

・懲戒リスク

 ハラスメント加害者として、就業規則にのっとって戒告、けん責、訓告、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇などの懲戒処分を受ける可能性がある。少なくとも、組織内で居場所を失うことになりかねない。

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