クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

セダンの再発明に挑むクラウン(1)池田直渡「週刊モータージャーナル」(5/8 ページ)

» 2022年07月18日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

ルーフの高さを決める制約

 余談だが、シート高さのセオリーというものがあって、ボンネットの見切りラインに規制されて、前席のシート座面高さは決まる。シートだけ下げると前方視界が悪くなるので、ボンネットの高さに合わせて座面を設けることになるのだ。

 これによって決まった前席乗員の高さより、後席は高く座らせないと前方視界が悪くなる。これも閉塞感の原因だから、それを防ぐために、劇場のシートのように、リヤシートの高さはフロントより高くなる。

 図を見ても、おしりの位置が後席の方が少し高いのが分かるだろう。同時に頭上空間はリヤシートの方がどうしても苦しくなるのもご理解いただけるはずだ。そうなるとフロントより高いシートに座るためには、どうしたってルーフの高さとドアオープニングを高くとらなくてはならなくなる。

新型クラウンの室内パッケージ(クラウンカタログより)

 ところが空力的にはルーフ高さの頂点は、できればBピラーあたりに持っていきたい。現代のクルマのパッケージングはこうした問題にどうリソースを割り振るかが課題になってくる。

 そもそもエンジンの高さが低くなれば、ボンネットは低くなるので前席のヒップポイントを下げられ、頭頂部のクリアランスに余裕を持たせても、後席乗員を高く座らせることが可能になる。このあたりはエンジンよりもBEVの方が有利になるだろう。

新型クラウンの室内(提供 トヨタ)

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